2020 年 35 巻 1 号 p. 9-12
土壌中に含まれる植物起源土粒子であるプラント・オパールを,日本では身近なテフラ層を対象に過去の環境(火山噴火)を学ぶ教材として活用されている火山ガラスに加えることで,学習内容を環境からさらに農業という「人の営み」にまで拡張した教育プログラムを企画立案した.中学生を対象に当該プログラムを実践した結果,生徒は,現代の水田と弥生時代の水田土壌から共通してイネのプラント・オパールを検出することを通し,土壌から人の営み(稲作)の歴史の情報を引き出せることを学習した.また,プラント・オパールが加わることで,学習指導要領にある中学校の理科と社会の多岐の内容を横断していることも確認された.ここでは,当該教育プログラムの実践の詳細を報告するとともに「総合的な学習の時間」における適性についても言及する.