2020 年 35 巻 3 号 p. 1-6
統合度の高いSTEM教育において,学習者がS・T・E・Mの各領域をどのように統合し,どのような学際的なアプローチが生じているのかを明らかにするために,まずは学習者の学びのプロセスを明らかにすることを目指し,その可視化を試みた.民間教育機関で実施されているSTEM教室の受講生を対象に調査を実施し,得られた動画をもとに学習の遷移図を作成した.本稿では,そのうちの1ケース(水力発電(調査対象者A))の結果を示し,創造的活動(E)の途中で,「水の速度とプッシュ回数の関係の探究(S)」や「最適条件(プッシュ回数)の探究(T)」,「水量とLEDの点灯時間の関係への着目(S)」,「最適なギアの組み合わせへの着目(T)」といった探究的活動への遷移が生じていることが示された.