2021 年 35 巻 5 号 p. 9-14
小学校理科の指導法に関する科目において模擬授業は主たる学習活動とされているが,新型コロナウィルス感染症拡大に伴い対面での模擬授業を実施することができない状況である.このような状況において模擬授業を実現するための方策として,遠隔会議システムの利用を挙げることができる.これまでに大学の教職課程の授業において授業観察活動に遠隔会議システムを導入した事例や,理科の模擬授業の演習にソーシャル・ネットワーキング・サービスを取り入れた実践を対象とする研究は行われているが,遠隔会議システムを利用した理科の模擬授業を対象とする研究は行われていない.本研究では小学校理科の指導法に関する科目において遠隔会議システムを利用した模擬授業を計画・実施し,受講生による評価を通して効果と課題を実践的に検討した.その結果,遠隔での模擬授業であっても一定の効果があることが明らかになった.一方,理科の教科固有の課題もあることが示唆された.