日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
発表
結果処理の方法が子どもの考察場面の話し合いに与える影響に関する分析
荒巻 美優紀中城 満
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2021 年 35 巻 6 号 p. 5-8

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抄録

本研究の目的は,実験結果を数値で表す単元において,結果処理が異なる授業の比較を行い,考察場面の話し合いに与える影響を明らかにすることである.まず,小学校理科の授業における実験の結果で数値を扱う授業の中で,そのすべての結果を考察場面で用いる授業の結果処理の方法を分類した.その結果,「無秩序に掲示」「表に整理して掲示」「グラフに整理して掲示」の3つに分類された.その後,各授業の発話プロトコルと児童が記述したノート等の分析を行った.結果は次の通りとなった.「無秩序に掲示」された授業は,規則性は見いだせていたものの,他の班の結果を比較し吟味する場面や,誤差を把握している発言は見られなかった.「表に整理して掲示」された授業は,誤差について発言する児童は多くいたが,規則性を見いだすのに教師の促しが必要であった.「グラフに整理して掲示」された授業においては,測定誤差の把握と教師による若干の促しはあったものの規則性を見いだした両方の発言が確認された.以上のことから,結果処理の方法においては数値をそのまま扱うのではなく,俯瞰できる工夫やグラフを用いて可視化させることの必要性が示唆された.

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© 2021 一般社団法人 日本科学教育学会
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