2021 年 35 巻 6 号 p. 9-12
理科学習では,個々の主観的な考えを実験や観察の結果から考察し結論づける活動を通して,抽象化し,客観的な考え方へと変化させていく.その過程で教師は子どもの考えを抽象化に導く役割を果たさなければならない.パリンサーの対話的な教授行動の視点である「表現させる」「もどす」行動は,種類の分類が大枠的であったため,さらに分類の余地があると判断し,これらをさらに細分化した教授行動の視点を作成するため新たに授業分析を試みた.その結果,「表現させる」には「一答型」「多答型」「仮説型」「発見型」「選択肢型」に,「もどす」は「確認型」「連続型」「再考型」「切り返し型」「根拠型」に細分化されることが明らかとなった.異なる文脈の授業においても,この新たな細分化した視点で,同様の分類ができことから,作成した視点は,教師がとる教授行動を分析する際に有効であることが示唆された.