2022 年 36 巻 4 号 p. 51-56
平成29年告示の学習指導要領から,持続可能な社会の実現に向けた人材育成を目指し,これまでも育成が求められてきた資質・能力に加えて,新たに生徒の自己調整に関わる「学びに向かう力・人間性等」が示された。学校教育において,生徒が学習において自己調整するための自己調整学習の能力育成が求められていると捉えられる。そこで本研究では,自己調整学習研究の第一人者であるジマーマンらの指摘するSRL(Self-Regulated Learning)サイクルモデルを通じた生徒の自己調整学習の能力育成の実態について,中学校理科授業の事例的分析を通じて明らかにすることを目的とした。調査に際し,Boekaerts(1999)が指摘する自己調整学習の能力の3層構造モデルを援用した。以上を踏まえて,生徒の自己調整学習の能力を分析したところ,2回のサイクルを通じて生徒の自己調整学習の能力が育成される実態が明らかとなった。