令和4年度から実施された高等学校指導要領において,「総合的な探究の時間」という教科を設けられ探究的な学習を推進する態度が示された.しかしながら,生徒が主体的に課題を設定する理数探究の授業には,様々な問題が存在している.我々は,高校1年生に対して前年度に実施した理数探究の授業を踏まえて,2021年度に探究目標設定の制限をある程度緩めたが,探究学習の本質と考えられる探究のプロセスを繰り返す学習を理数探究でも実現すべく,2学期,3学期のほとんどの授業時間を使って実施した.その結果,プロセスの1サイクル目には実験課題の設定にかなり苦労した生徒も,2サイクル目では容易に実験課題を設定し実験をデザインしていた.しかも,その目標が生徒自身が興味を持ったテーマであるためか積極性も見られた.しかし,1サイクル目の課題設定においては,生徒が自分らで課題を設定できるようになるために,多くの時間と教員の労力と工夫が必要であった.実験を伴う理数探究の実施は難しいが,探究のプロセスを繰り返すことで,より大きな成果が得られることが期待された.