堆積学研究会報
Online ISSN : 1884-4715
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九州中軸帯上部白亜系御船層群の堆積相と堆積環境
黒木 慎二郎岡田 博有坂井 卓
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1995 年 41 巻 41 号 p. 65-83

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抄録

上部白亜系御船層群は, 九州中軸帯白亜系堆積盆地の一層群で, 陸成・汽水成ならびに浅海成堆積物からなる. 本層群は下位より基底層・下部層・上部層に区分され, 全層厚は1500m以上に達する一海進・海退シーケンスをなす. 本研究では堆積相解析・古流向解析より陸成層の御船層群上部層中の赤色層の堆積学的特徴を記載し, さらに本層群の堆積環境の変遷を明らかにした. 御船層群中には17の堆積相が識別され, それらの堆積相群から8つの堆積環境が推定できる. その堆積環境変遷は, 層群北部域では下位から扇状地・河口・泥質干潟・湖沼と変化するのに対し, 南部域では扇状地末端部・砂質干潟・沖浜・外浜・湖沼と変化することから東に海域が面していた内湾的な地形が考えられる. また赤色層を含む細粒層は, 級化・リップルなどの堆積構造が発達する湖沼成堆積物に比較され, 古流向などから北方へ前進する湖成デルタによって形成されたと考えられる.

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© 日本堆積学会
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