堆積学研究
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デルタの臨海漸移帯における地形発達と卓越風
インド東岸マハナディデルタの例
前島 渉N. K. Mahalik
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2000 年 51 巻 51 号 p. 39-44

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抄録

マハナディ=デルタの臨海漸移帯には微地形発達の著しい地域的片寄りが認められる. この背景要因として卓越風の影響が大きいとみなされる. 特に卓越風の方向とデルタの海岸線の向きとの関係が, 海岸域で働く諸作用の相対的強さに地域差を生みだしている. デルタの南西部では, 卓越風の方向に対して海岸線が大きな角度をなしており, 波浪作用と風成作用が卓越している. 中央部の海岸線は卓越風の方向とほぼ平行している. そのため波浪作用とともに沿岸流の作用が特に強く働いている. 北東部の海岸は卓越風からさえぎられる位置にあるため, 風や波浪, 沿岸流の作用が微弱で, 河川作用および潮汐作用が卓越している。このような卓越する作用の相違を反映して, 南西部では比高の高い幅広い砂丘帯が, 中央部では断続した何列もの旧浜堤が, そして北東部では潮汐低地やマングローブ沼沢地が, それぞれ臨海漸移帯を特徴づけることとなった.

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