堆積学研究
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愛媛県野忽那島沖の浅海砂堆「貝原」に見られる海底地形
ナローマルチビーム音響測深機SEABATを用いた観察 (予報)
奈良 正和井内 美郎
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2000 年 52 巻 52 号 p. 5-12

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抄録

愛媛県温泉郡中島町の野忽那島沖にある浅海成砂堆「貝原」(最浅部の水深15.9m) において, ナローマルチビーム音響測深機SEABATを用いた高精度測深を行い, 3次元的な海底地形図 (鯨畷図) を作成した. 貝原の南半部には非対称の断面形態をとり, 曲線状ならびに舌状の平面形態を示す水成デューンが見られる. その形態から判断すると, これらのデューンは東南東ならびに南東からの流れによって形成されたことがわかる. また, 貝原北半部では人工漁礁を起点に形成されたオブスタクル・マークが見られ, それが示す流れの方向は東から西ならびに東北東から西南西である. 大きなスケールで見ると貝原の南東方から東方, すなわち流れの上流側, にかけて, 水深114.8mに達する単成海釜が見られ, そこから貝原にむけて表層堆積物の粒径が順次減少する. これらのことから, 貝原はこの海釜から潮流によって浸食・運搬された堆積物が流速の減少とともに集積して形成されてきた可能性が高い.

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