堆積学研究
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乱泥流の運動と堆積作用のモデリング
久保 雄介
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2001 年 54 巻 54 号 p. 1-7

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抄録

乱泥流の運動とそれに伴う砕屑物の輸送, 堆積作用をモデル化した例を簡単にレビューし, それぞれの方法の実際の適用例とともに紹介する. 水槽実験によって得られた経験式やエネルギー・運動量の保存を簡単に表した式から得られる関係式は, 定常状態の乱泥流の運動を記述する方法として多く用いられる. 実験室での乱泥流のうち一定体積の流体が時間とともに側方に延びる変形運動として記述することができるものについては, 頭部の移動速度を経験式で与えることで長距離での速度変化や堆積物分布を予測することができる. 自然界の乱泥流はその発生メカニズムと規模によって比較的短期間なものと長期間持続するものに分けることができる. 比較的短時間のイベントによって発生するサージタイプの乱泥流は一つの塊として考えることができ, その運動は比較的簡単な運動法的式で表すことができる. このモデルでは斜面の効果を簡単に評価できるという長所がある. 持続的な乱泥流では, Navier-Stokes の式に基づいたより完全な流れの記述が必要となる. この場合は流れや堆積物に関して詳しい情報が得られる反面, より複雑な条件と計算手法が必要となる.

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