堆積学研究
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グレイガイト (Fe3S4) を含む北部フォッサ・マグナ高府泥岩部層の化学残留磁化
新妻 祥子
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2004 年 59 巻 59 号 p. 1-16

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抄録

北部フォッサ・マグナ高府向斜には, 自然残留磁化強度の強い鮮新統層柵しからみ高府泥岩部層 (以下, 高府泥岩) が分布する. 高府泥岩の段階交番磁場消磁と段階熱消磁の結果, 二次的な残留磁化である第1成分, アンブロッキング温度100~400℃の第2成分, 300~600℃の第3成分が検出された. XRD分析では, 第2成分をもっ試料からグレイガイト, 第2・3成分をもっ試料から磁鉄鉱とグレイガイトが認定された. 顕微鏡観察を併せると第2成分はグレイガイトが担う化学残留磁化, 第3成分は磁鉄鉱やチタノマグネタイトが担う堆積残留磁化と解釈できる. これらの磁化方位は褶曲テストに合格することから, 堆積残留磁化と化学残留磁化は, 高府泥岩がプランジ褶曲する以前に記録されたことが明らかになった. プロファンデルタにおける堆積速度の速い高府泥岩は, 堆積残留磁化とほぼ同時期に安定な化学残留磁化を記録していると考えられる.

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