堆積学研究
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高知県東部, 下部白亜系美良布層中の石灰岩に含まれるウーイドの特徴と成因
大賀 博道井龍 康文
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2004 年 59 巻 59 号 p. 27-37

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抄録

ウーイドの鉱物組成は顕生代の気候変動と生物地球化学循環を考えるうえで, 非常に重要である. 本論では, 下部白亜系美良布層中の石灰岩に含まれるウーイドの産状や微細構造を詳細に検討した. これらのウーイドの皮層は, 放射状に配列した繊維状の透晶質方解石の結晶からなるラミナが数~数十層累重したものである. 繊維状の結晶は, 長さが6~15μm, 直径が1.0~1.5μmである. ウーイドの形成に微生物が関与したことを示す直接的な証拠は全く得られなかった. ウーイドおよびセメントの詳細な観察より, ウーイドのラミナを構成する針状結晶は, 初生的に高マグネシウム方解石もしくはアラレ石であったが, 陸水性続成作用による転化作用により, 初生的内部構造や結晶形態を保持したまま, より安定な低マグネシウム方解石に変化し, それとほぼ同時もしくはその後に, 淡水飽和帯において粒子間間隙に等粒状モザイクセメントが形成されたという続成史が想定される.

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