2002 年 56 巻 2 号 p. 63-67
有機性廃棄物分解に関わる微生物集団について分子生物学的手法および培養法を用いて解析した。生ゴミ分解過程やフィールドスケールコンポスターから優占化している微生物を検出,単離同定した。それら微生物の至適増殖温度・pHは現場環境とよく一致していたが,優占種に必ずしも広い有機物分解性があるわけではなかった。微生物集団への他菌の添加を試みたが,その定着性は見られず,自然に形成された複雑微生物系内には充分組織化されたネットワークが形成されていると考えられた。一方,複雑微生物系を試験管内に閉じ込め,高効率で安定な稲わら分解微生物集団を構築することに成功した。その微生物集団は分解過程で構成メンバーを変えることなく,それぞれのポピュレーションを変化させて分解を効率的に行っていた。またそこには好気・嫌気微生物間の相互作用が考えられた。さらに,解析したすべての系において核酸解析では検出できないような微生物が単離されてきており,それらマイナー種の重要性が示唆された。