土と微生物
Online ISSN : 2189-6518
Print ISSN : 0912-2184
ISSN-L : 0912-2184
T-RFLP法によるトウモロコシ根圏および非根圏土壌の細菌群集構造の比較
松家 輝境 雅夫井上 聖華金澤 晋二郎
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 57 巻 2 号 p. 125-130

詳細
抄録

植物根圏における細菌数の増加は,根圏効果として知られている。これまで,根圏土壌細菌と非根圏土壌細菌の比較には,培養による手法が用いられてきた。本研究では,根圏および非根圏土壌の細菌群集構造の比較を,培養法に加え直接抽出DNAによる非培養法にて行った。根圏土壌を調製するため,Rhizoboxを用いてトウモロコシを30日間栽培した。この根圏土壌と非根圏土壌の細菌数を希釈平板法により計数した結果,約6倍の根圏効果が認められた。また,寒天平板で培養した細菌群をT-RFLP解析した結果,根圏と非根圏土壌の細菌群集構造は異なっており,根圏土壌に特有な数種の細菌が認められた。一方,土壌から直接DNAを抽出してT-RFLP解析した場合は,両土壌間に細菌群集構造の差は認められなかった。根圏効果により培養可能な一部の細菌群が増加するが,全体の土壌細菌群集からみれば,その変化は小さいと推察された。

著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top