小麦フスマを土壌に2t/10aの割合で混和し,潅水・被覆した土壌還元消毒法によって,トマト萎凋病菌(Fusarium oxysporum f. sp. lycopeysici)の分生子および厚膜胞子の生存は有意に抑制されることが示された。このとき,予め土壌を殺菌することで,病原菌に対する生存抑制効果が失われることから,本法による殺菌効果には土壌微生物が関与していることが示唆された。また,酸化還元電位や土壌pHの変化,FDA加水分解による微生物活性および土壌希釈平板法の結果から,土壌還元化によって顕在化してくるのは,通性嫌気性の細菌群であることが考えられた。PCR-DGGEによって土着の細菌群集構造の経時的変化を調査したところ,還元処理による特異的なバンドが数本認められ,土壌還元消毒による殺菌効果には特定の細菌群の台頭が関与していること,また,その細菌群集構造の変化は土壌還元処理後3日目には既に収束していることが示された。