土と微生物
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土壌汚染と微生物多様性(農業生産と微生物多様性,シンポジウム)
片山 新太亀谷 美智康倉橋 明里舩坂 敬子宋 徳君安田 剛北村 充梶浦 章太郎井上 康
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2005 年 59 巻 2 号 p. 83-89

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抄録

土壌汚染の評価試験には,土壌微生物群の物質循環に関わる働き(活性)を感度の良い生物指標とする見方と,土壌微生物の形成する生態系自体を重要な生物集団として,その動態から影響評価する二つの考え方がある。現在,汚染土壌の評価試験法として標準化されつつある微生物試験法は,主に前者の考え方に基づいており,これまでに炭素と窒素の循環に関わる土壌活性試験が標準化されてきた。後者の考え方での評価には,土壌微生物群集構造の解析が必要とされるが,群集構造解析は,微生物マーカー(リン脂質脂肪酸,呼吸鎖キノン,16S-rRNA遺伝子)を用いた群集構造解析法の発達により盛んに行なわれるようになった。これらの非培養解析法によって得られる主な情報は,対象土壌微生物群の分類学的多様性である。しかし,土壌微生物が形成する生態系は,これに加えて土壌微生物バイオマス,土壌の機能(活性)を測定評価することが重要である。土壌微生物バイオマス,土壌機能,群集構造の3つの観点から評価することによって,土壌機能を担う微生物群集の汚染土壌における動態を詳細に解析することができる。

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