2008 年 62 巻 2 号 p. 121-125
植物根から迅速・簡便かつ安価にDNAを抽出する手法として,ガラスビーズで細胞破砕を行うビーズ法が適当であるか,またビーズ法で抽出されたDNAが細菌の16S rDNAのPCR-DGGE解析による細菌群集構造解析に供試可能かどうかを検討した。また,ビーズ法と他のDNA抽出法について,抽出DNA量やDGGEパターンの比較を行った。その結果,約5mmに切断した根を0.1gビーズ法に供試することで,根に生息する細菌のDNA抽出およびDGGEパターンを得ることは十分に可能であった。ビーズ法とCTAB法およびDNA抽出キットを用いてDNA抽出を行ったところ,抽出DNA量はビーズ法を用いた場合が最も多く,DGGEパターンはDNA抽出法による大きな違いは見られなかった。以上の結果から,ビーズ法が細菌群集構造解析のための植物根からの迅速かつ簡便なDNA抽出法として適していると考えられた。