土と微生物
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リン脂質脂肪酸およびキノンプロファイル法を用いた家畜ふん堆肥連用圃場における土壌微生物相の解析
浦嶋 泰文中嶋 美幸金田 哲村上 敏文堀 兼明
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2011 年 65 巻 2 号 p. 125-135

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抄録

有機物の施用は土壌の生物性を改善すると言われているが,有機物の施用が土壌の生物性に及ぼす影響についての研究事例は少ない。そこで,土壌から抽出したPLFA及びキノンを解析することで,有機物として家畜ふん堆肥を連用した圃場における土壌微生物群集構造の変動を明らかにした。家畜ふん堆肥の多量施用区でPLFA含量およびPLFA組成に基づく多様性指数が高かった。これに対し,糸状菌の指標PLFAである18:2ω6,9の含有率(mol%)は化成肥料区で顕著に高く,家畜ふん堆肥連用区では比較的低い傾向にあった。また,家畜ふん堆肥施用区でキノン含量およびキノン組成に基づく多様性指数が高かった。化成肥料区に特徴的な要因として,ユビキノン含有率(mol%),特にユビキノンのQ7とQ10の含有率(mol%)高かった。PLRへ組成またはキノン組成に基づきクラスター解析,主成分分析を行ったところ,PLFA組成は施用した有機物の種類ではなく有機物の施用量に大きく影響を受けていることが示されたのに対し,キノン組成は,施用した有機物の種類に大きく影響を受けていることが示された。

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