土と微生物
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牛ふん堆肥,豚ふん堆肥または化成肥料の連用とフィルムマルチの有無が土壌微生物バイオマスとバイオマス当たりの呼吸活性に及ぼす影響
堀 兼明浦嶋 泰文塩見 文武
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2012 年 66 巻 1 号 p. 3-11

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抄録

家畜ふん堆肥または化成肥料の連用圃場において土壌微生物バイオマス(以下;バイオマス),およびバイオマス当たりの呼吸活性(以下;呼吸活性)を調査した。バイオマスは,牛ふん堆肥区,豚ふん堆肥区のいずれも化成肥料区より多くかつ,施用量の増加に伴い増加した。呼吸活性は,牛ふん堆肥区,豚ふん堆肥区のいずれも化成肥料区より低かった。マルチ区では無マルチ区よりも土壌水分含量が少ないためにバイオマスが少なく,本試験の水分含量160〜230g kg^<-1>では,低水分ほどバイオマスが少なかった。また,バイオマスを増すためには土壌微生物の呼吸基質となりやすい有機物が必要であり,水溶性有機物量が呼吸基質量の指標となると考えられた。呼吸活性は,ECの上昇やpHの上昇または土壌水分の減少に伴って低下した。このECの上昇に伴う呼吸活性の低下は,ECが土壌診断基準における概ね適正範囲内であるにもかかわらず認められるものであった。これらのことと栽培したダイコンの生育状況や土壌の理化学性の推移とを踏まえて,バイオマスと呼吸活性について土壌微生物改善目標値と,それらの値を満たすために必要な土壌理化学性の条件値を提案した。

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