2013 年 67 巻 1 号 p. 14-21
土壌微生物のバイオマスおよびバイオマス当たりの呼吸活性に及ぼすN,P,K,CaおよびMgの5成分の無機肥料塩類毎の単独および複合多量施用の影響を検討した。バイオマスおよび呼吸活性のいずれも肥料の量と種類の両方の影響を受けることが明らかとなった。バイオマスは,P,K,CaおよびMgの単独施用区では施用量に係わらず無施肥区と比較して有意差がなかった。一方,複合区では5倍量区で最大値を示した。バイオマスはECの上昇に伴って増加する傾向を示し,標準施肥量の5倍量の施肥に伴って3mS cm^<-1>程度までECが高まってもバイオマスの減少は認められなかった。一方,呼吸活性は,ECの上昇に伴って低下する傾向を示し,EC値1.0mS cm^<-1>以上では呼吸活性は低いレベルで推移した。肥料塩の随伴成分である硫酸根施用量と呼吸活性との関係は,ECと呼吸活性との関係とよく似た傾向を示し,硫酸根が2000mg kg^<-1>以上では呼吸活性は低いレベルで推移した。このように,呼吸活性は塩類濃度の上昇により低下するが,呼吸活性の低下をもたらすECや硫酸根の値は各々の土壌診断基準値と比較して概ね同等かやや高いレベルの値であった。