2014 年 68 巻 2 号 p. 83-90
ドレンベッドにおいて,ペレット牛糞堆肥,イナワラおよび化成肥料NN604を組み合わせて施用する8通りの処理区を設け,コマツナを栽培した後,その土壌について,細菌および糸状菌の多様性を調べたところ,細菌・糸状菌とも資材・肥料の組合せに対してほぼ同様の傾向を示し,牛糞堆肥+イナワラ区,イナワラ+化成肥料区,牛糞堆肥+イナワラ+化成肥料区で多様性が高かった。また,微生物バイオマスの指標である抽出DNA量は堆肥を含む処理区で高かった。さらに,微生物多様性の異なる牛糞堆肥+化成肥料区(低),イナワラ+化成肥料区(中〜高),牛糞堆肥+イナワラ+化成肥料区(高)の土壌を用いてステンレスバットでホウレンソウを栽培し, Fusarium oxysporum f. sp. spinaciae Ku-1株あるいはRhizoctonia solani Ca-1株を,濃度を変えて接種し,発病率を調べたところ, Ku-1株接種では微生物の多様性が高く,抽出DNA量の多い牛糞堆肥+イナワラ+化成肥料区で有意に発病率が低く, Ca-1株接種においても同区で発病率が低くなる傾向が見られた。