土と微生物
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キャベツバーティシリウム萎凋病の発病に及ぼすキタネグサレセンチュウの影響
酒井 宏漆原 寿彦吉澤 仁志白石 俊昌池田 健太郎
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2015 年 69 巻 2 号 p. 100-104

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抄録

キャベツバーティシリウム萎凋病の発病に及ぼすキタネグサレセンチュウの影響について検討した。本病病原菌Verticillium longisporumおよびV. dahliaeの微小菌核を1,10,100,1000個/g乾土の割合で接種した土壌において,本線虫を同時に接種し,無接種の場合と発病状況をプランター試験で比較した。V. longisporumでは,微小菌核の密度が100個/g乾土のとき,本線虫を接種した方が発病が高まった。1,10個/g乾土では発病が少なく,1000個/g乾土では甚発生となり,本線虫の有無による発病の差はみられなかった。V. dahliaeでは,微小菌核の密度が100個/g乾土以下では発病が少なく有意な差はなかったが,1OOO個/g乾土のとき発病が高まった。次に,V. longisporumの微小菌核を10,100個/g乾土の割合で接種した土壌において,本線虫量を段階的に変えて接種したところ,微小菌核の密度が10個/g乾土の土壌では発病程度は変わらなかったが,100個/g乾土では,本線虫密度が高い方が発病程度が高まる傾向がみられた。また,圃場試験においても,V. longisporumの微小菌核を200個/g乾土の割合で接種した土壌において,本線虫を同時に接種した方が,病原菌単独と比べて発病が高まった。以上より,キャベツバーティシリウム萎凋病はキタネグサレセンチュウによって助長されることが明らかとなった。

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