土と微生物
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「ミニマム・ロスの農業」の規範となる自然生態系および 伝統的農業生態系土壌における炭素・養分循環の解明
沢田 こずえ 渡邉 哲弘舟川 晋也
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2021 年 75 巻 2 号 p. 52-59

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抄録

近年,「農業生産の持続性の危機」および「農業起源の環境問題」が急速に顕在化してきた。著者らは,熱帯土壌を対 象に,地域特性に適応的である自然生態系および伝統的農業生態系における物質循環プロセスを規範とし,生産基盤の劣化や環境負荷物質の放出を最小化するような営農管理技術の考案(ミニマム・ロスの農業)を目指している。本稿では,熱帯土壌における粘土鉱物分布を概観したうえで,有機物蓄積メカニズムを紹介した。また,(1)熱帯域の食糧生産をけん引するAndisols 地帯における食糧増産と環境負荷低減を両立させる農地管理法の提案,(2)農業開発の急進が危惧されるサブサハラ・アフリカのOxisols 地帯における硝酸・陽イオン溶脱を抑制しうる対応策の提示,(3)熱帯土壌の特性に応じた効率的な有機物施用法の提案など,「ミニマム・ロスの農業」につながる研究の一端を紹介した。

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