2020 年 34 巻 2 号 p. 15-21
小中学生がスマートフォンやタブレットを持つようになったことやSNSの普及により,小中学生でも簡単にインターネット上で情報を発信できるようになった.それに伴い,小中学生がインターネットの危険から自らの身を守り,インターネットを正しく安全に使う力を身につける必要性が増している.一方で,近年になって必要性が急激に増したこの分野については,学校教育の現職員の知識が不足しており,学校教育のみで子どもに指導することは難しいと考えられる.子ども向け動画制作教室を運営するフルマ社では,教室に通う子どもたちに向けて,独自のネットリテラシー講座を実施している.この講座は,旧来のネットリテラシー教育の内容に加え,SNSが普及した2010年代に入って必要になった知識についても取り扱う.旧来のネットリテラシー教育は主に中高生を対象としてきたが,今日では小学生もインターネットを頻繁に使用するようになった.そのことを踏まえ,フルマ社のネットリテラシー講座では,小学1年生でも理解ができるようにアニメーションやクイズを用いて実施される.教材の開発当初は,アニメーションやクイズを使用していなかったが,難しい内容を小学1年生でもわかるように改善を重ねた結果,それらを導入することとなった.この知識は,SNSが普及した現代を生きる全ての子どもたちに,必要なものである.今後は,教室に通う子どもたち以外の小中学生にもネットリテラシー講座を届けるべく,小学校や中学校での授業の実施に力を入れていく.