2014 年 48 巻 5 号 p. 149-157
【背景】非コロイド状の鉄を静脈内投与すると鉄代謝の制御因子であるヘプシジン-25を誘導し,鉄の再利用を阻害する.
【目的】微量元素製剤は高カロリー輸液剤に混注し投与されているが,混注後の鉄コロイドの安定性は確認されていない.そこで,微量元素製剤を高カロリー輸液剤に混注した場合の鉄コロイドの安定性,さらに微量元素製剤を高カロリー輸液剤に混注しラットに投与したときのヘプシジン-25誘導について検討した.
【結果・考察】高カロリー輸液剤に混注した微量元素製剤中の鉄コロイドは,経時的に非コロイド状の鉄に解離した.微量元素製剤を高カロリー輸液剤に混注しラットに持続投与すると,ヘプシジン-25の誘導が確認されたが,混注しないでボーラス投与するとヘプシジン-25の誘導を回避できる可能性が示唆された.
【結語】ヘプシジン-25を誘導しない投与方法の検討,高カロリー輸液剤に混注しても鉄コロイドが安定な微量元素製剤の開発が必要であると考えられる.