2016 年 50 巻 2 号 p. 179-184
CVポート長期留置に伴う肺血栓塞栓症はまれである.症例60歳台女性.2003年FAPに伴う横行結腸癌にて大腸亜全摘術.2005年空腸腸間膜デスモイドにて手術.術後縫合不全併発により空腸ストマを造設し短腸症候群となる.2006年9月CVポート感染による敗血症性DICを併発し入院加療した.2007年MRSAによる腰椎化膿性脊椎炎で4カ月間入院加療.2008年CVポート真菌感染にて入院加療.2011年同様の敗血症性DICにて入院加療.CVポート再留置を試みたが,SVCへカテーテルが進まずやむなく心膜横隔静脈へ先端を留置した.同年9月残存直腸内に多発ポリープあり手術検討中,造影CTにて右肺動脈に血栓が判明.DVTの既往なく心機能正常,肺高血圧症なし.CVポートに伴う血栓が原因と考えワルファリン内服するも肺血栓の改善は認めず2012年1月残存直腸切除術施行.ワルファリン内服にてHPN継続中.長期HPN施行中にはVTE・PEに注意が必要である.