外科と代謝・栄養
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外科侵襲とInterleukin-18 遺伝子多型
石川 倫子山田 太平滿保 直美藤崎 宣友上田 敬博井上 岳人小谷 穣治
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2017 年 51 巻 1 号 p. 17-24

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抄録

 インターロイキン(interleukin;IL)-18 は自然免疫と獲得免疫の両方に関係するサイトカインであり,さまざまな細胞に発現している.また,IL-18 レセプターを発現する細胞も多岐に渡り,炎症性サイトカインとしての働きだけでなく,生体各所での恒常性維持にも関与する.IL-18 の遺伝子多型は一塩基多型の-607C/A および-137G/C と病態との関連を調べた報告が数多く存在するが,外科侵襲や敗血症など,IL-18 血中濃度が短時間で著しく高値を示すような急性炎症での検討はほとんどない.われわれはIL-18-607 および-137 と救命救急センター搬入患者の血中IL-18 濃度および予後との関連を検討し,Il-18-607CA のジェノタイプをもつ場合には血中IL-18 濃度が高いこと,予後不良群は血中IL-18 濃度が高いことを報告した.IL-18 の遺伝子多型解析は画一的な治療が難しい外科侵襲後や救急領域でのテーラーメイド医療に一定の成果をもたらすのかもしれない.

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© 2017 日本外科代謝栄養学会
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