外科と代謝・栄養
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原著(臨床研究)
早期胃癌に対する腹腔鏡下胃切除後の感染性合併症危険因子としての 骨格筋脂肪化の意義
内田 恒之関根 隆一松尾 憲一木川 岳梅本 岳宏喜島 一博原田 芳邦若林 哲司高橋 裕季塩澤 敏光小山 英之柴田 栞里田中 邦哉
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2020 年 54 巻 1 号 p. 42-47

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抄録

 背景: サルコペニアは胃癌をはじめ各種悪性腫瘍の短期・長期成績に関与するが, 骨格筋の質を表す脂肪化と術後感染性合併症 (IC) の関連性は明らかでない.
 目的: 腹腔鏡下胃切除 (LG) を施行した胃癌症例における骨格筋脂肪化と術後ICとの関連を明らかにする.
 方法: 2009年から2018年までのLG施行早期胃癌173例を対象とした. 周術期諸因子と術後ICの関連を後方視的に検討した. 骨格筋脂肪化は術前CT画像によるIntramuscular adipose tissue content (IMAC) で評価した.
 結果: 術後ICは20例 (11.6%) に認めた. 多変量解析による術後ICの独立危険因子は男性 (P=0.003) , Prognostic nutritional index低値 (P=0.008) , IMAC高値 (P=0.020) であった. IMAC高値群は低値群に比較し高齢 (P=0.001) で高Body mass inedx (P=0.027) であり糖尿病並存例 (P=0.021) が多かった.
 結語: 骨格筋脂肪化はLG後の術後IC発生の危険因子であった. 適切な術前栄養・運動療法の介入が術後IC制御に寄与する可能性がある.

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© 2020 日本外科代謝栄養学会
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