外科と代謝・栄養
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特集 「重症患者の長期予後を見据えた栄養療法と運動療法」
長期的な肺炎予防・体重維持を目指した食道癌周術期の栄養療法
川田 三四郎平松 良浩白井 祐佳位田 文香本家 淳子渡邉 浩司松本 知拓菊池 寛利神谷 欣志竹内 裕也
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2020 年 54 巻 3 号 p. 125-129

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抄録

 当院では外科, リハビリテーション科, 栄養部などが連携した多職種周術期管理チームHamamatsu perioperative care team (以下HOPE) を2017年4月に発足させた. 嚥下評価を標準化し誤嚥を防ぐ食事形態や摂取法を提供している. 早期に空腸瘻からの経腸栄養を開始し必要に応じ退院後も継続している. 2014年1月~2018年6月までに当科で食道亜全摘術を施行した食道癌患者112例を対象とし, チーム発足前の65例をpre‐HOPE群, 発足後の47例をHOPE群にわけて比較検討した. 肺炎発生はpre‐HOPE群18例 (28%), HOPE群6例 (13%) と有意に減少した (p=0.046). 術後在院日数中央値はpre‐HOPE群 : HOPE群=23 : 31であった (p=0.021). 術前体重を100%とし体重変化を比較すると, 術後1か月90.1% : 93.8% (p<0.001), 6カ月84.2% : 90.5% (p<0.001), 1年85.6% : 91.9% (p<0.001)で, 全時期で有意に体重減少を抑制していた. 嚥下機能評価を標準化し経口摂取が慎重となったことなどから, 術後在院日数は延長したが, 長期的な肺炎の発症・体重減少はチーム医療の介入により減少した.

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© 2020 日本外科代謝栄養学会
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