外科と代謝・栄養
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特集「医工連携がもたらす重度侵襲病態治療の最前線と近未来の治療」
血液浄化法による敗血症集中治療の最前線
橋田 知明渡邉 栄三中田 孝明
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2020 年 54 巻 4 号 p. 180-184

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抄録

 敗血症は, 感染症に対する制御不能な宿主反応に起因した生命を脅かす臓器障害, と新たに定義され, 臓器障害の進展を早期に発見・阻止することが重要視されている. そこで, 単なる臓器補助ではなく, 病態を制御する治療法として, サイトカイン吸着能を有する膜素材を用いた持続的血液濾過透析の有効性が報告されてきた. また敗血症において免疫麻痺の病態が注目されており, その治療戦略としても血液浄化法が報告されている. しかし, 吸着の原理による治療の有効性を示す質の高いエビデンスはいまだ存在せず, そのことは複数の敗血症診療ガイドラインでも指摘されている. そこで, 本邦で近年使用されているAN69ST膜を用いた血液浄化法は, 保険承認の観点からも吸着を企図した血液浄化法の臨床効果を検討するのに適している. また, 血液浄化膜への吸着の実態究明を目的とした基礎研究も行われ, 新規の敗血症関連物質も同定されている. 今後も, 敗血症に対する血液浄化法の有用性に関するエビデンスを積み重ねる必要がある.

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© 2020 日本外科代謝栄養学会
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