外科と代謝・栄養
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特集「医工連携がもたらす重度侵襲病態治療の最前線と近未来の治療」
細胞担持ナノシートの開発と難治性皮膚潰瘍治療への応用
藤枝 俊宣青木 伸峰
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2020 年 54 巻 4 号 p. 188-193

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抄録

 難治性皮膚潰瘍に代表される組織欠損に対して, iPS細胞, ES細胞, 間葉系幹細胞などの幹細胞を用いた細胞移植療法が検討されている. 移植用の幹細胞を迅速に患部に生着させるためには, 接着性と液性因子の透過性に優れる細胞移植基材の開発が重要である. 本研究では, 生体組織に対して密着可能な自己支持性高分子超薄膜 (ナノシート) に注目し, ナノシートを幹細胞の移植基材として用いることで皮膚全層欠損モデルマウスの治療を試みた. 具体的には, ポリマーブレンドと溶媒エッチング法にて多孔質ナノシートを調製し, この表面に脂肪組織由来幹細胞 (ASC) を担持することでASC担持ナノシートを得た. このASC担持ナノシートを積層化することで, 大量のASCを一度に創部へ移植できるようにした. さらに, db/dbマウスからなる皮膚全層欠損モデルマウスに対して, 積層化したASC担持ナノシートを移植したところ, 創部治癒能が示された. 創部に安定かつ迅速にASCを移植可能な多孔質ナノシートは難治性皮膚潰瘍治療への応用が期待される.

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© 2020 日本外科代謝栄養学会
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