この40年ほどの間に多くの基礎的・臨床的なエビデンスの集積がなされ, これらの研究成果をシステマテック・レビューすることによりいくつかの重症患者に対する国際的なガイドラインが作成されるにいたっている.
術後臓器不全にいたった症例の栄養療法は, 支持療法の根幹をなすものであるがその病態は複雑であることから, いまだ栄養療法によるoutcomeを示すエビデンスの高い成果は少ない. また, どの程度の熱量をどのようなタイミングで投与することが最も望ましいかは明らかにはなっていないのが現状である. これまでの知見から言えることは, 過剰投与を避け, 十分なモニタリングを行いつつケース・バイ・ケースでエネルギー負債が過剰にならないことを一つの目標として管理していくことであるといえる. また, 術後臓器不全に陥ったときに予後を左右する最大の因子としては, 術前の栄養状態であり術前の栄養評価・栄養管理が重要である.