2021 年 55 巻 6 号 p. 255-263
目的: 7.5%糖・3%アミノ酸液(AF)を主体とした末梢静脈栄養において, どの程度の20%脂肪乳剤(IL20)を併用すれば栄養効果が改善されるかを検討した. 方法: AF 2000mLあたりIL20を100~500mL添加し, AFL20, 40, 60, 80, 100の被験液を調製した{数字は脂肪量(g)}. 正常または開腹術侵襲ラットに対し, 5日間持続投与した. 糖とアミノ酸の投与量は群間で同一とした. 毎日採尿し, 投与5日目に採血した. 結果: 投与前後の体重変化率と窒素出納は, 脂肪の添加量に応じて改善した. 侵襲ラットの体重変化および術後早期の窒素出納の改善は, AFL40以上の脂肪添加群でAF群に対し有意であった. 脂肪添加量を増やすと, 血清遊離脂肪酸, 血清総ビリルビン, 一次水分出納の増大, 血小板数の減少を認めた.
結語: AFの1日量 (糖150g,アミノ酸60g) に脂肪40g以上を添加することで栄養効果が改善した.