外科と代謝・栄養
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特集 「術中輸液の最新動向」
最新の術中輸液管理:術中循環管理に関連する最新の知見
五代 幸平
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2024 年 58 巻 4 号 p. 104-108

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抄録

 術中輸液の目的は「適切な臓器血流を維持すること」であり, そのために輸液管理は循環管理と切り離すことはできない. 特に, 術中低血圧は周術期合併症と関連しているため避けなければならない. 術中循環管理では, 前負荷 (循環血液量) ・心収縮力・後負荷 (体血管抵抗) をそれぞれ適切に保つ必要がある. 2023年から人工知能を用いたHypotension prediction index(HPI)が臨床使用可能となっている. HPIを用いた低血圧治療アルゴリズムにより, 上記いずれの因子に問題があるか鑑別診断を行うことが可能となる. 一方でHPIは手術手技に伴う大血管や心臓の圧迫による低血圧などは想定していないため, 麻酔担当医が手術進行をしっかりと把握することは必要不可欠である. 本稿では, 新規麻酔薬であるレミマゾラムの特徴についても解説を行う. 本稿が術中循環管理に関連する最新の知見を理解し, 安全な周術期管理を行う手助けになれば幸いである.

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© 2024 日本外科代謝栄養学会
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