外科と代謝・栄養
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特集 「間接熱量計を活用した侵襲期の栄養管理」
間接熱量計と酸素代謝を活用した高齢重症患者への栄養アセスメント
清水 健太郎蛯原 健
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2025 年 59 巻 1 号 p. 19-24

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抄録

 栄養管理は, 栄養アセスメントと栄養治療の両輪が必要である. 重症病態では, 一律にunderfeedingにすると低栄養が遷延する可能性もあり, 逆に, 栄養が多くなるとoverfeedingになる可能性もある.
 102名の重症患者を対象に間接熱量計の測定を行ったところ, 安静時エネルギー消費量のばらつきが大きく, 推算式より低い症例と高い症例が混在した. 酸素代謝を検討すると, 高齢者は若年者に比して, 酸素運搬量が低く, 酸素摂取率が高くなる特徴があった. 年齢に応じた心機能の低下がエネルギー消費量のばらつきの一因と考えられた. 高齢者の酸素摂取率の高い症例は, 生体の危機的な状況であり, 推算式に対して少ないエネルギーを投与すること (underfeeding) を支持すると考えられた. 一方, 酸素代謝の正常な症例に対しては, 安静時エネルギー消費量に見合ったエネルギー投与が可能と考えられた. 重症病態の栄養治療のために, 間接熱量計を用いた安静時エネルギー消費量や酸素運搬量・酸素摂取率を用いた病態解析を栄養アセスメントに含めることで, より適切な栄養管理を行うことが可能である.

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© 2025 日本外科代謝栄養学会
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