【目的】間接熱量測定を用いた侵襲時の代謝に関する基礎研究の結果とその臨床への応用について概説する.
【方法】マウスにLPSを種々の用量で腹腔内投与し, 対照群 (生食のみ), 低用量群 (1mg/kg), 高用量群 (5mg/kg) に分けた (各n=5-6). その後呼気ガス分析による間接熱量測定および尿中窒素測定を行い, 栄養代謝動態の変化を調べた. また, 血漿および肝臓の基質濃度も測定した.
【結果】急性期には対照群に比して低用量群および高用量群で脂質代謝の割合が有意に上昇していた. また脂質濃度が血漿で有意に低下し, 逆に肝臓で上昇していた.
【考察】侵襲時には脂質代謝が亢進し, 脂肪組織から肝臓へ運ばれていることが示唆された. その結果として呼吸商 (RQ) が低下することも示され, 侵襲のピークアウトと外因性エネルギー供給の利用可能性の指標としてRQを活用することが有用かもしれない. 患者ごとに間接熱量測定を活用した“個別化栄養療法”が重要である.