サルコイドーシス/肉芽腫性疾患
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精神的ストレスの負荷に伴って病勢の悪化をみたサルコイドーシスの2症例
山田 嘉仁山口 哲生栗山 喬之
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1999 年 19 巻 1 号 p. 75-80

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抄録

精神ストレスの増減に伴って病勢の悪化および改善が認められた2症例を報告する. 症例1は49歳の主婦. 1年間のステロイド治療の既往があるが, 労作時呼吸困難感の出現および胸部X線写真上のびまん性粒状陰影の悪化を主訴に来院. 詳細な問診の結果, 息子の家庭内暴力に悩まされていることが判明した. 本人, 家族ヘカウンセリングを行い, 息子の家庭内暴力の軽減とともに自覚症状, 画像所見の改善を得た. 家庭内暴力の再発と病勢悪化の再燃は認めるが, ステロイド治療の離脱もでき, 病状は安定している. 症例2は31歳, 男性, 深夜勤のあるウエイター業. 霧視を主訴に来院し胸部X線写真にてびまん性粒状陰影を指摘された. 深夜勤を禁止し規則正しい生活を指導した結果, 自他覚症状の改善を得た. しかし本例も元の不規則な生活に戻ると病勢の悪化をみるという再燃性が確認されている. すべての症例において同様と言い切れないが, 精神的ストレスや不規則な生活スタイルはサルコイドーシス患者, 特に失感情症傾向にある患者において, 病勢を大きく左右する要因になると強調したい.

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© 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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