サルコイドーシス/肉芽腫性疾患
Online ISSN : 1884-6122
Print ISSN : 1345-0565
ISSN-L : 1345-0565
高Ca血症と急速な腎機能障害を呈したサルコイドーシスの一例
太田 求磨寺田 正樹笠井 明男上野 光博成田 一衛鈴木 栄一下条 文武
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 20 巻 1 号 p. 55-58

詳細
抄録

症例は71歳女性. 1991年5月検診でBHLを指摘され, 血清ACE高値等よりサルコイドーシス (サ症) と診断された. 無症状で経過観察されていたが, 1997年5月, 食欲低下, 同6月, 血清Ca155mg/dl, Cr3.2mg/dlと著明な高Ca血症と腎機能障害を指摘され, 同7月入院. 血清ACE正常 (23.8IU/L), リゾチーム高値 (42.5μg/dl), 蛋白尿, 血尿あり, 腎機能検査ではGFR低下, 尿細管障害, 濃縮力障害を認めた. 1α25(OH)2D3は51.2pg/mlで, 年齢, 骨粗鬆症を考慮すると高値. intact-PTH, PTHrPは正常範囲. BHLは残存しており, Gaシンチで肺門と両腎に軽度集積を認めた. 腎生検で問質性腎炎と診断したが, 年齢, 合併症より副腎皮質ステロイド薬は使用せず, 食事制限, 補液, 利尿剤で高Ca血症, 腎機能ともに改善し, 1α25(OH)2D3は著しく低下した. 本例はサ症に伴う問質性腎炎に高Ca血症が加わり, さらなる腎機能低下をきたしたと考えられた.

著者関連情報
© 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
前の記事 次の記事
feedback
Top