サルコイドーシス/肉芽腫性疾患
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発症時に劇症型心筋炎の病像を呈した心サルコイドーシスの一剖検例
加藤 靖周森本 紳一郎平光 伸也植村 晃久溝口 良順度会 正人菱田 仁
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2001 年 21 巻 1 号 p. 39-45

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抄録

心室頻拍と心不全を繰り返し, 次第に心機能が低下して心不全死し, 剖検にて心サルコイドーシスと診断された症例を経験したので報告する. 症例は38歳の男性で, 発熱, 下痢に引き続いて, 突然心室頻拍と心不全が生じて急性心筋炎と診断された. 心不全は一時改善したものの, 再び急性心筋炎様症状を呈し, 以後慢性心不全の状態におちいった. また, 薬剤抵抗性の持続性心室頻拍を頻発し, 入退院を繰り返した. 経過から慢性心筋炎と考え, cyclosporin A, prednisoloneによる免疫抑制療法を行ったが, 徐々に心不全が進行して発症48ヵ月後に死亡した. 剖検にて, 心重量は530g, 高度の心筋細胞の融解・消失化と間質の広範な線維化に加え, 非乾酪性の類上皮細胞肉芽種が認められた. また, 肺門リンパ節にも類上皮細胞肉芽種が観察され, サルコイドーシスと確定診断した. 本例は, ウィルス性心筋炎に酷似した臨床像を呈して発症した心サルコイドーシスであり, ウィルス性心筋炎とサルコイドーシスの関係を考える上で, 極めて重要で示唆に富む症例であると考えられた.

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© 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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