サルコイドーシス/肉芽腫性疾患
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高齢者サルコイドーシスの臨床的検討
十河 容子田邨 カンナ遠藤 順治角 勇樹大谷 義夫海野 剛稲瀬 直彦三宅 修司今野 和典田中 健彦吉澤 靖之
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2002 年 22 巻 1 号 p. 19-23

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抄録

サルコイドーシス (サ症) は, 若年者に多い疾患とされており, 65歳以上の高齢者の割合は比較的稀とされていた. しかし, 人口の高齢化に伴い, 高齢者においても増加傾向にある. 高齢サ症患者の臨床像を明らかにするために, 65歳以上の高齢者とそれ以下の非高齢者の問で, 画像所見を中心に臨床像を比較検討した. 対象は56例のサ症患者 (組織診断群41例, 臨床診断群15例) で, 高齢者15例, 非高齢者41例 (中年者17例, 若年者24例) であった. 高齢者は女性の割合が高く, 眼症状や呼吸器症状の自覚症状を有する例が多かった. 胸部平面エックス線写真では, 高齢者, 非高齢者ともにBHLを有するStage I, IIが多く認められた. HRCTにおいて, 高齢者では粒状影46.7%, 気管支血管束の肥厚40.0%に比べ, スリガラス影は20.0%, 浸潤影33.3%と主要な所見ではないものの, スリガラス影を生じた若年者は認められず, 高齢者で有意に高頻度に認められ, また浸潤影も若年者8.3%と高齢者に多い傾向がみられた. リンパ節腫脹の程度には差を認めなかった. 縦隔肺門リンパ節腫脹を認めたびまん性肺疾患症例や, 多臓器疾患症例では, 高齢者においても, サルコイドーシスも鑑別のひとつに挙げるべきであると思われた.

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© 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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