サルコイドーシス (以下サ症) 肺の線維化過程と構築改変を明らかにするために66例 (肺サ症20例, 心サ症31例, 神経サ症3例, 特定臓器著明侵襲を認めないサ症12例) の剖検肺の病理学的検討を行った. 66例のサ症肺では肉芽腫に由来する線維化のパターンでは細気管支を中心とする星芒状線維化が77%に, 小葉間間質や細気管支の帯状線維化が42%に, そして気管支・血管束に沿う線維化は58%にみられ, しばしば周囲肺胞の虚脱硬化や, 線維化内に肉芽腫性血管炎の瘢痕像を伴う. 肺サ症20例では上葉収縮は65%に, 心サ症では32%に認められた. 空洞は肺サ症の9例にみられそのうち8例はアスペルギルス感染を合併, 嚢胞形成は肺サ症の55%に観察された. 空洞および嚢胞形成には中枢側気管支の肉芽腫侵襲や線維性狭窄, 細気管支の線維性閉塞ならびにチェックバルブ機構が関与する. 蜂窩肺は肺サ症の50%にみられ, 下葉のみならず上葉にも生じる. 蜂窩肺形成には細気管支から末梢肺胞領域での肉芽腫による線維化ならびに胞隔炎からの線維化が関与すると考えられる. サ症肺では融合性肉芽腫の広がり, 肉芽腫の血管およびリンパ管侵襲, それに伴う肺胞の虚脱硬化が構築改変に重要な役割を担っている.