2003 年 23 巻 1 号 p. 77-82
心サルコイドーシス患者の予後は抗不整脈剤などの進歩により改善しつつあるが, 最近では心不全死が多数報告され, 予後を左右する重要な因子となっている. 症例1は, 76歳男性. 平成5年にBHLを指摘され肺生検にてサ症と診断された. 平成9年に乾性咳漱と胸部陰影の増悪を認め再入院となった. 平成5年には認めなかった心電図上, ST低下, 陰性T波, 頻回の期外収縮と心エコー検査でびまん性の壁運動の低下を認めた. 本例においては病初期に心機能の評価が可能であった. 症例2は, 74歳女性. 平成4年に乾性咳漱と胸部異常陰影で初診. 皮膚生検でサ症と診断された. 平成8年頃より, 時々動悸を訴えていたが平成10年に, 意識障害を伴う心室頻拍で救急入院となった. 抗不整脈剤にて改善が得られたが, ST-T変化などの心電図異常が持続した. 経時的な心電図, ボルター心電図などの変化について報告する.