サルコイドーシス/肉芽腫性疾患
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MPO-ANCA陽性結節性多発動脈炎患者に発症した腎動脈瘤破裂による出血性ショックの一例
森松 嘉孝田中 勝一郎田口 和仁戸田 玲子緒方 健二本田 和丸岡 浩誌相澤 久道
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2003 年 23 巻 1 号 p. 99-103

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抄録

症例は57歳男性. 全身倦怠感を初発症状とし, 下腿浮腫, 体重減少を認めた. 貧血, 肝・腎機能障害を認め, 腹部CTにて左腎周囲に血腫を認めたため血管造影検査を行ったところ, 両側腎動脈, 及び肝動脈に多発する小動脈瘤を認めた. 結節性多発動脈炎を疑われ, ステロイド併用シクロホスファミドパルス療法を始めた翌朝, 左腹部に膨隆出現. その後, 膨隆は増大. 著明な貧血を呈しショックとなったため, 当センターへ搬入された. 緊急血管造影にて左腎動脈後枝より造影剤の溢流を認め, 同部位に塞栓術を行い, 循環動態は安定した. その後, 低酸素血症となり気管内挿管施行. 人工呼吸管理を開始し, 急性腎不全に対して持続式灌流濾過透析, 同時にステロイドパルス療法を施行. 炎症反応の著明な改善と抗好中球細胞質抗体価の低下を認めた. 本症例は病理組織学的診断は得られていないが, 臨床所見, 典型的血管造影所見よりP-ANCA陽性の結節性多発動脈炎と考えられ, シクロホスファミドパルス療法直後に腎動脈瘤が破裂した貴重な症例である. 壮年者に発症した急性腹症の場合, ANCA関連血管炎症候群を鑑別に挙げるべきである.

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© 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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