サルコイドーシス/肉芽腫性疾患
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サルコイドーシスの治療についての新しい考え方
ボーマン ロバートP長井 苑子
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2004 年 24 巻 1 号 p. 97-100

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抄録

ステロイド節約作用を有する多くの新しい治療薬が試みられてきたのはサルコイドーシス慢性症例群に対してである. このレビューでは, 新しい治療薬のうちミノサイクリン (抗菌薬), レフルノマイド (Leflunomide: 細胞毒性薬剤), インフリキシマブ (lnfliximab: 抗TNF薬剤) の3つの薬剤の本症への治療可能性を考察する.
ミノサイクリンとドキシサイクリンは本症に有効であることが報告されているが, われわれが57症例に投与した経験では少なくとも40%で治療反応性があり, 主に皮膚病変への有効性が示された. ミノサイクリンはPropiniobacterium acnesに有効であるが同時に抗炎症作用もあるので, 本薬がサルコイドーシスに有効だとすると抗菌作用と抗炎症作用の両者の可能性が考えられる. 細胞毒性薬剤は慢性サルコイドーシスの標準的な治療薬である. Leflunomideは本症に有効性が実証されているメソトレキサート (MTX) と類似の代謝拮抗剤で毒性はより少ない. 最近のわれわれの経験では眼病変に対してより有効であったが, 肺病変に対しても70%を超える症例で治療効果がみられた. MTXよりも服薬しやすく毒性は低かった. 活動性サルコイドーシス肺胞マクロファージからのTNF遊離量増加が報告されている. InfliximabはTNFに特異的に結合するキメラモノクローナル抗体で, 関節リウマチとクローン病での治療効果が報告されている. サルコイドーシスへの治療効果は症例報告の段階であるが, われわれは5mg/体重1kgの週2回投与を4-6週間ごとに反復する方法で治療効果を検討している. Infliximabの治療効果はTNFの不活性化だけではなく, TNF産生細胞への細胞毒性も関与していると考えられる. ただし本薬は結核の再燃をきたしやすいことに注意する必要がある.

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© 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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