サルコイドーシス/肉芽腫性疾患
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抗ウイルス療法 (HAART) 後にサルコイドーシスを発症したHIV感染者の1例
吉川 充浩荷見 映理子志関 真理子笠井 昭吾柳 富子徳田 均北村 成大江石 義信
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2005 年 25 巻 1 号 p. 67-73

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抄録

症例はアフリカ出身の55歳男性. 3年前HIV抗体陽性を指摘され, 2年前より抗ウイルス療法 (HAART) を開始, コントロールは良好であった. 2週間前より咳噺が出現, 胸部X線でびまん性スリガラス陰影が認められ精査のため入院. 胸部CTで肺門・縦隔リンパ節腫大, 両側肺野すりガラス陰影, 気管支血管束肥厚が認められた. 当初悪性リンパ腫, カポジ肉腫などが疑われたが, ガリウムシンチで縦隔リンパ節に加えて眼窩, 耳下腺への集積が認められ, サルコイドーシスを疑われた. ツベルクリン反応陰性, ACE・リゾチームいずれも高値, BALFはリンパ球10% (CD4/CD8比3.92), TBLB・縦隔リンパ節生検ではラ氏型巨細胞を伴う類上皮細胞肉芽腫の形成が認められ, サルコイドーシスと診断された. 副腎皮質ステロイドは投与せず, 自然経過で自他覚所見は改善した. HAART後の免疫再構築症候群の一例と考えられ, 本邦での第1例目の報告となる.

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© 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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