サルコイドーシス/肉芽腫性疾患
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サルコイドーシス肺の肉芽腫ならびに非肉芽腫病変の特性と転帰に関する病理学的研究
武村 民子
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2006 年 26 巻 1 号 p. 3-12

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抄録

サルコイドーシス (以下サ症) 肺においては類上皮細胞肉芽腫は主にリンパ管に沿って分布するが, ときに融合性肉芽腫は肺胞腔内に形成される. またリンパ球性胞隔炎は肉芽腫近傍に巣状に存在する. 肉芽腫の血管侵襲は高頻度にみられ, 剖検肺ではほとんどのレベルの血管, リンパ管に肉芽腫とその治癒療痕像がみられた. 剖検肺の検討から気管支・血管束を中心として肉芽腫の分布に一致する線維化が進行し, 肺胞虚脱を伴い上葉収縮に至ること, 長期例では上葉に空洞や嚢胞形成がみられ, 蜂巣肺は細気管支から肺末梢領域の肉芽腫の線維化, 肺胞弾性線維の消失や肺胞虚脱によって生じることが明らかになった. サ症におけるミクロァンギオパチーは微小血管内皮細胞の腫大, 変性, 基底膜の多層化を特徴とし, 肺では気管支粘膜, 肺胞壁毛細血管において観察される. P. acnesの注入実験から, 菌体成分による血管内皮細胞の傷害と局所へのリンパ球, 単球浸潤が肉芽腫の初期病変となる可能性が示唆された.

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© 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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