抄録
症例は25歳, 男性, 9年前から全身に刺青, 2006年6月中旬より発熱, 乾性咳嗽が出現した. 市販薬で解熱したが, 咳漱は持続し, 呼吸困難も出現したため, 近医を受診した. 胸部X線および胸部CTで全肺野に小粒状影を認め, 精査目的で入院となった. 入院時検査では, WBC 8,200/μL, CRP 0.03mg/dLと炎症所見に乏しく, KL-6277U/mLと正常であった. 身体所見では, 全身に刺青を認める以外, 特記すべき異常はなかった. 気管支肺胞洗浄液では, リンパ球42.6% (CD4/CD8 2.49) と高値であり, 胸腔鏡下肺生検では, マッソン体を伴った非乾酪性類上皮細胞肉芽腫と黒色顆粒沈着を認めた. 皮膚生検でも刺青の黒色色素の存在部位に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め, なんらかの過敏性反応が考えられた. 文献的考察を加え, 報告する.