社会心理学研究
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原著論文
自己ならびに他者への信念や期待が社会へのイメージと将来への時間的展望に及ぼす影響
金政 祐司
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2014 年 30 巻 2 号 p. 108-120

詳細

問題

Bowlby(1969/2000, 1973/2000, 1980/1982)は、自らが展開した愛着理論において、人は自身にとって重要な他者との近接性を維持するための調整機能、愛着システムを有しており、また、その重要な他者との近接性の調整に関連する諸事から愛着の個人差が形成されるとの見解を示した。彼によると、乳幼児は、生得的に自身に対してサポートや保護を提供してくれる他者(愛着対象)との近接性を模索し、それを維持しようとする行動傾向をもつとされる。このような愛着対象との近接性の確保は、乳幼児を身体的、精神的な脅威から遠ざけ、乳幼児のストレスや苦悩を和らげることに寄与する。すなわち、乳幼児は、愛着対象との近接性を維持することによって自身の情動の制御を図るというのである。Bowlby(1969/2000, 1988)は、このような情動制御がうまくなされるのであれば、乳幼児は、安心感(あるいは安全感;attachment security)を獲得して自身の心の安寧を保つことができると主張した。つまり、彼によれば、愛着システムの主要な目的は、この安心感の獲得、言い換えれば、世界は安全で、保護やサポートについて他者を拠り所とすることができ、また、それゆえに過度な不安を抱くことなく自身の置かれた環境や状況について探索し、様々な活動に従事することができる感覚(Mikulincer, Shaver, & Pereg, 2003; Shaver & Mikulincer, 2011)を獲得することにあるとされる。これは、愛着対象が個人にとって「安全な避難所」ならびに「安全基地」双方の機能を果たすことを意味している。

個人にとって重要な存在である愛着対象とのこのような長期的で継続的な相互作用は、個人の心のうちに、「愛着対象を含む重要な他者は自分にどのように接してきて、自分はどう反応するのか」といった重要な他者ならびに自己に関する信念や期待を形作らせる(Bowlby, 1973/2000, 1980/1982)。この愛着対象との二者関係において構築された重要な他者と自己に関する信念体系、それが愛着理論で要諦となる概念、内的作業モデル(Internal Working Model)であり、内的作業モデルは、他者と自己に関する信念や期待である他者モデルならびに自己モデルの2次元により構成される。Bowlby(1973/2000, 1980/1982)によれば、この自己や他者に関する作業モデルは、先のように個人と愛着対象との二者関係での相互作用の経験をベースとして構築、形成されたものではあるが、それは個人のテンプレートとして機能することで、外界情報の認知や将来の予測、自己や他者の行動についてのシミュレーション、自己の行動のプランニングを方向づけ、次第に一般化、抽象化されていくことで、個人の後の対人関係における認知や行動、感情に対して影響を及ぼすとされる。言うなれば、自己と愛着対象との関係のスキーマとして形作られたものが、しだいにその関係を超えて自分自身や対人関係全般についてのより抽象的な表象を構築するようになるというのである(Collins, Guichard, Ford, & Feeney, 2004)。

愛着が生涯を通して継続的に個人を特徴づけていくというBowlbyの主張は、その後、Hazan & Shaver(1987)Shaver & Hazan(1988)の成人の愛着理論において着目され、援用されることとなった。成人の愛着研究は、これまで様々な角度からのアプローチがなされているが、近年では、Bowlbyの述べた自己モデル、他者モデルに対応する関係不安、親密性回避という愛着二次元(Brennan, Clark, & Shaver, 1998)の観点から行われているものが多い。この関係不安と親密性回避は、前者が愛着システムを慢性的に活性化させておく過活性化方略と、後者が愛着システムの活性化を抑制する不活性化方略と連関することから(e.g., Mikulincer & Shaver, 2007; Shaver & Mikulincer, 2011)、関係不安の高さは、自己への確信のなさや相手から見捨てられることへの不安感を引き起こし、親密性回避の高さは、他者への不信感や他者や親密な関係を形成することへの抵抗感を経験させるものとして捉えられている。

先に言及したように、内的作業モデルが自己や他者に関する信念体系であるとともに、自分の周りの世界をどのように捉えるのかに影響し、外界情報の認知や自他の行動のシミュレーションを方向づけながら一般化、抽象化されていくというのであれば、内的作業モデルは、個人を取り巻く対人関係の認知や行動、感情に対して影響を与えるというだけでなく、より広範に自身の置かれた世界や社会をどのように捉え、どう認識するのかに対しても影響を及ぼしうる可能性がある。つまり、二者関係において構築された自己や他者への信念や期待である内的作業モデル(愛着二次元)は、より広範で抽象的な対象である社会について個人が抱くイメージにも影響を及ぼすものと考えられるのである。

これまでにある対象や概念に対するイメージを問う尺度は、たとえば、恋愛(金政,2002)や就職(杉本,2008)に関するものが作成されており、前者の恋愛イメージは、青年・成人期の愛着スタイルとの関連について(金政・大坊,2003)、後者の就職イメージは、後述する時間的展望との関連について(杉本・速見,2012)の検討がなされている。また、会話分析から災害のイメージに関する検討を行った研究(永田・矢守,1996)では、ある対象や概念に対して私たちが抱くイメージは、客観的な事実に基づいて形成されるのみならず、他者とのコミュニケーションを通して形成されるものであり、かつイメージは個人の行動と関連するとの見解が示されている。本研究では、このようなイメージの対象を社会に設定し、個人が社会に対して抱く主観的なイメージを社会イメージとして捉えることとした。

このような社会イメージは、当然ながら、個人が社会をどのように捉えているのか、あるいは個人のもつ社会観といったこととも関連すると考えられる。都筑(1984)は、女子短期大学生を対象に自己と日本の社会をどう捉えているかに関しての比較、検討を行っており、その結果、自己に関しては未来指向的だが、日本の社会については過去に重きを置き、未来指向的な者が少ないことを報告している。また、白井・安達・若松・下村・川﨑(2009)の大学卒業者を対象にした研究では、「私にとって社会は」という文章を完成させることで得られた自由記述の分類によって社会的信頼という概念の測定を試み、その社会的信頼が、過去の大学時代での友人関係や活動経験によって影響を受けることを明らかにしている。すなわち、過去の対人関係や諸経験は、個人が社会をどう見ているのかという社会的信頼に対して影響を及ぼしうると言うのである。愛着二次元が、過去の愛着対象との諸経験に基づき形成された自己や他者への信念や期待が青年・成人期にまで維持、継続されてきたものであるとする成人の愛着理論の視点を踏まえれば、白井らの研究結果は、愛着二次元が社会イメージに対して影響を及ぼす蓋然性を示唆するものとして捉えることができよう。上記の諸研究は、個人と個人が認識する社会との関連についての有益な知見を提出するものであるが、それらの研究では、個人の社会観や社会認識が単一項目あるいは自由記述によって測定されている。それゆえ、本研究では、個人が社会に対して抱く主観的なイメージを測定することを目的として、社会イメージ尺度の作成を行うこととする。

先に言及した愛着二次元と社会イメージとの関連を考える際、安定的な愛着スタイルの者(関係不安ならびに親密性回避が低い個人)、あるいは青年・成人期の愛着対象である恋人を安全な避難所ならびに安全基地としてうまく活用できている者は、愛着とは関連しない探索的行動を積極的に行うことができ(Green & Campbell, 2000)、さらに、目標達成への動機づけやそのためのエフォート、仕事や学業への意欲やパフォーマンスを促進、向上させることができる(e.g., Elliot & Reis, 2003; Feeney, 2004, 2007; Mikulincer & Shaver, 2007)という研究報告は重要なものとなる。これらの研究の示唆するところは、個人は安全感あるいは安心感を獲得することで、好奇心を高めて探索行動を活発にさせ、様々な物事に過度な不安を抱くことなくチャレンジしていくことができるということ(「安全基地」としての機能)である。それゆえ、たとえば、関係不安ならびに親密性回避が低い、安定型の愛着スタイルをもつ者は、自身の周りの対人関係や環境に対しても積極的にアプローチすることで、より広範な社会に対してもポジティブなイメージを抱くことができると考えられる。加えて、安定的な(安定型の)個人は、情報にポジティブなバイアスをかけてその処理を行うが、不安定的な(関係不安が高い、あるいは親密性回避が高い)個人は、ネガティブなバイアスをかけて情報の処理を行いやすい(Dykas & Cassidy, 2011)ということも、青年・成人期の愛着二次元が社会イメージに対して影響を及ぼすことに寄与するものとなろう。これらの点を踏まえ、本研究では、自己や他者への信念や期待である愛着二次元が社会イメージに及ぼす影響について検討を行うことをその目的の一つとする。

内的作業モデルは、先に触れたように、個人が自身の置かれた世界をどのように理解し、解釈するのかに対して影響を与えるとともに、将来の予測や行動のプランニングにも影響を及ぼすとされる(Bowlby, 1973/2000, 1980/1982)。この点に関しては、たとえば、愛着と探索的行動との関連について検討した研究において、関係不安は、失敗への恐れや目標追求に対する困難さの認知と正の相関を、親密性回避は、目標達成への欲求や目標追求に対するコミットメントと負の相関を示すことが報告されている(Elliot & Reis, 2003; Mikulincer & Shaver, 2007)。さらに、日記法を用いたカップル研究(Campbell, Simpson, Boldry, & Kashy, 2005)でも、関係不安の高い個人は、関係内の葛藤やサポートに関する諸事が将来の関係の質(幸せや安定性)に影響を及ぼすと考えやすく、加えて、関係内の葛藤の認知が高い場合に、将来の関係の質を悲観的に捉えやすくなることが報告されている。これら一連の研究結果は、愛着二次元が将来の予測や行動のプランニングに対して影響を及ぼすことを示唆するものであると言えよう。このことから、本研究では、将来の予測や行動のプランニングを捉えるものとして時間的展望、特に将来についての時間的展望を取り上げ、愛着二次元との関連について検討を加える。

時間的展望に関してはこれまで様々な観点から数多くの研究が行われてきている(e.g., 白井,1997; 都筑,1999; 都筑・白井,2007)。白井(1994)は、自身のこれまでの研究に基づいて、時間的展望を現在の「充実感」、過去に関する「過去受容」、未来への「希望」と「目標指向性」の4つの側面から捉えられるものと仮定し、それらを測定するための時間的展望体験尺度の作成を行った。この時間的展望体験尺度は、その後の研究においても使用されおり、たとえば、谷(1998)は、Erikson(1959)の漸成発達理論における発達の第Ⅰ段階の危機である「基本的信頼対基本的不信」に由来する基本的信頼感と時間的展望の4側面との関連について検討を行っている。その結果、基本的信頼感と過去受容ならびに現在の充実感は、かなり密接に関連していること、また、そのような基本的信頼感と過去から現在への時間的連続性は、未来への予測としての絶望感(もしくは希望)に影響を及ぼし、さらに、それを媒介して未来への不確実性(もしくは目標指向性)に影響することが示された。この研究において基本的信頼感は、乳児期の早期の経験で獲得される自身と世界に対する態度とされており(Erikson, 1959)、これは愛着二次元の概念的な定義とも親和性が高い。この観点から見ても、愛着二次元は時間的展望と十分関連することが予想されうるだろう。ただし、谷(1998)では、上記のように基本的信頼感と過去受容ならびに現在の充実感の関連性はかなり強く、同一の因子としてまとめ捉えられるものであることが示されている。それゆえ、本研究では、白井(1994)の時間的展望体験尺度のなかでも特に未来についての側面である希望ならびに目標指向性を将来への時間的展望として扱うこととする。

時間的展望の研究には、成人の愛着理論の観点を踏まえたものも存在する。園田・片岡(2008)は、白井(1994)の時間的展望体験尺度を改変して、恋愛関係における時間的展望体験尺度の作成を行い、ロマンチックアタッチメントとの関連について検討している。その結果、恋愛関係での親密性回避傾向は、過去、現在、未来それぞれの時間的展望と有意な関連を示すこと、また、恋愛関係において関係不安ならびに親密性回避が共に低い安定型の愛着スタイルの者は、他の愛着スタイルの者よりも目標や希望といった関係の将来に対する見通しがポジティブであることが報告されている。都筑(2004)は、未来や将来への時間的展望について他者との関係性や対人関係の観点を考慮することの重要性に触れているが、本研究も上記の研究と同様に、対人関係の志向性としての愛着二次元と将来への時間的展望との関連について検討を行うものと位置づけることができよう。本研究では、先述の議論を踏まえ、安定的な愛着は個人の探索的行動を活発にさせるが、不安定な愛着(関係不安や親密性回避の高さ)は、それを抑制させることから、関係不安や親密性回避の高さは、将来への時間的展望である希望や目標指向性を阻害するであろうという予測を立て検討を行う。

ただし、この青年・成人期の愛着二次元と将来への時間的展望との関連は、先の社会イメージによって媒介される可能性がある。前述のように、愛着二次元は、現在、自らが置かれている社会や世界をどう捉えるのか、また、そこから得られる情報をどのように認知、処理するのかにバイアスをかけることから、それらは将来への時間的展望に直接的に影響を及ぼすのではなく、社会へのイメージを介することで将来への時間的展望に影響を与えるというプロセスが想定されうる。つまり、自己や他者への信念や期待である愛着二次元は、より広範で抽象化された個人の社会へのイメージに影響を及ぼし、それらが将来への時間的展望を規定するというモデルを想定することができるのである。それゆえ、本研究では、愛着二次元と将来への時間的展望との関連が社会イメージによって媒介されるというモデルを設定し、その妥当性について検討を加える。

これまで述べてきたように、青年・成人期の愛着二次元と個人が抱く社会イメージならびに将来への時間的展望の関連性について検討を行う際、その個人が社会に出て就労しているかどうかの有無や個人の発達的段階は考慮すべき重要な要因となるであろう。たとえば、大学生と社会人とでは社会イメージや将来的な時間展望自体が異なることが予想されうるとともに、それらと愛着二次元との関連性についても双方で異なる可能性は十分にある。さらに、個人の年齢的な要因、発達段階についても同様のことが言えるだろう。それゆえ、本研究では、大学生のみならず社会人についても研究の対象とし、加えて、社会人に関しては、大学生とほぼ同年代である18歳から24歳の社会人と、それ以上の20代、25歳から29歳の社会人を対象としてデータの収集を行う。青年期の終焉と成人期の始まりの境界線をどこに引くかについては、時代や研究者によって意見を異にするが、本研究では、大学生と同年代の社会人とそれ以上の年齢の社会人を区別して捉えることとし、25歳以上を青年期の範囲から逸脱しているとする先行研究(諸井,2004; 諸井・嶋田・田中・清家・俣野,2010)に倣い、18歳から24歳までの社会人を青年期後期社会人、25歳から29歳の社会人を成人期前期社会人として、それら両群と大学生の三つの群を設定し、上記の事柄について検討を行うこととした。

これまでの議論をまとめ、本研究の概要と主となる目的を記す。本研究では、最初に社会イメージ尺度を作成することを目的とし、予備調査にてその項目の収集を行うため自由記述による質問紙を実施する。次に、研究1では、予備調査において収集された項目を用いて調査を実施し、社会イメージ尺度の作成を行う。さらに、研究2では、大学生、18歳から24歳までの青年期後期社会人、25歳から29歳の成人期前期社会人の三つの群を対象に調査を実施し、愛着二次元、社会イメージ、将来への時間的展望のそれら3群間の差異を検討する。加えて、自己や他者への信念や期待である愛着二次元が、より広範で抽象化された社会イメージを媒介して将来への時間的展望に影響を及ぼすというプロセスについて、上記の3群について共分散構造分析による多母集団同時分析を行い、その影響過程の妥当性の検討ならびに3群間の共通項と差異を明らかにする。

予備調査

予備調査では、社会イメージ尺度の項目の収集を行うことを目的として、関西圏の6大学、中部圏の1大学において、自由記述式回答の調査を行った。調査回答者は、男性61名、女性113名の計174名(平均年齢20.71歳;SD=1.08)、調査時期は、2011年10月から11月であった。

調査内容は、個人が社会に対して抱くイメージについて幅広く項目を収集するため、二つの自由記述式回答の質問を用意し、それとともに回答者の年齢ならびに性別を尋ねた。回答者は、「あなたは、社会をどのようなものであると考えていますか? もしくはあなたにとって社会とはどのような存在ですか?」、ならびに「あなたは、社会、あるいは、社会に出ること、社会のなかで生きていくことに対してどのようなイメージや印象を抱いていますか?」という二つの質問に対して、それぞれ簡潔に文章で二つ回答するよう求められた。その結果、前者の質問には346個の回答、後者の質問には344個の回答を得ることができた。それら合計690個の自由記述の回答を筆者と心理学を専攻する大学院生の2名でカテゴリー分類をしながら、社会イメージを測定するための項目として適切であると思われるものを選定した。その結果として、101項目を暫定的な社会イメージ尺度の項目として採用し、次の研究1で用いることとした。

研究1

研究1は、先の予備調査において収集された暫定版社会イメージ尺度101項目を用いて調査を実施し、社会イメージ尺度を作成することを目的として行われた。

方法

回答者と実施方法

関西圏の6大学、中部圏の1大学にて心理学に関する講義を受講している学生を対象にして質問紙調査を実施した。調査実施の際には、データは統計的処理されるため調査協力者の匿名性は保たれることが説明された。質問紙の回答者は、650名であったが、回答に不備のあった者を除外し、男性213名、女性424名の計637名(平均年齢20.72歳;SD=1.15)を分析の対象とした。調査時期は、2012年1月から2月にかけてであった。

調査内容

1. 暫定版社会イメージ尺度:個人の抱く社会に対するイメージを測定するために、予備調査で収集した社会イメージに関する101項目を使用した。回答者は、各項目について、自分にとっての社会のイメージや社会という存在にどの程度当てはまるかを“全く当てはまらない=1”から“非常によく当てはまる=7”の7件法での評定を行った。

2. デモグラフィックな特徴を問う項目:上記の暫定版社会イメージ尺度に回答した後、回答者は、自身の性別と年齢を回答するよう求められた。

結果

暫定版社会イメージ尺度の因子分析

社会イメージに関する101項目の評定値に対して、因子分析(共通性の初期値としてSMCを用いた反復主因子法)を行った。その際、特定の因子への負荷の低い項目(0.35未満)や複数の因子へ負荷の高い項目を考慮して、尺度項目を選択しながら繰り返し因子分析を行った結果、43項目が残存し、固有値の減衰状況(11.15, 6.25, 1.64, 1.32, 0.54, 0.46)や因子の解釈可能性から4因子を抽出したのちPromax回転を行った(Table 1)。第1因子は、「社会は私にとって新たな自分を発見できる場である」、「社会は自分の様々な可能性を試せる場所だと思う」といった項目に高い負荷が見られたため、成長・向上イメージ(以後、成長・向上)因子と命名した。第2因子は、「社会は私を束縛する存在である」、「社会で生きていくことは何かをあきらめることだと思う」といった項目に高い負荷が見られたため、束縛・不自由さイメージ(以後、束縛・不自由さ)因子と命名した。第3因子は、「社会でうまくやっていくことは大変なことだと思う」、「社会では色々と我慢をしなければならないと思う」といった項目に高い負荷が見られたため、閉塞・困難さイメージ(以後、閉塞・困難さ)因子と、第4因子は、「社会は誰もが所属しなければならないところである」、「社会は生きていく上で必ずかかわっていかなければならないものだと思う」といった項目に高い負荷が見られたため、不可避・義務イメージ(以後、不可避・義務)因子と命名した。各因子の項目を概観すれば、成長・向上は比較的ポジティブな社会イメージ、束縛・不自由さと閉塞・困難さは比較的ネガティブな、不可避・義務はニュートラルな社会イメージと考えることができるだろう。

Table 1 研究1と研究2における大学生ならびに社会人を対象とした社会イメージ尺度の因子分析結果
成長・向上束縛・不自由さ閉塞・困難さ不可避・義務
社会は私にとって新たな自分を発見できる場である.80.79.77.09.06.03−.11−.05.01−.06−.03−.03
社会は自分の様々な可能性を試せる場所だと思う.80.81.79−.04.01−.08−.04−.12.01−.04.01−.11
社会とは様々な物事に挑戦していくところである.75.75.73.00.06.12.04−.05.04.02.05.02
社会とは人々の能力を育成していく場である.74.73.64.10.09.12−.13.00−.16.04.07.23
社会は私を成長させてくれるところである.74.77.80−.01−.02−.01−.01−.05−.03.04.12.08
社会は自分の力を試すよい機会を与えてくれるものである.72.68.80−.03−.03−.02−.04.01−.05−.06−.07−.07
私にとって社会は人の役に立つことができる場所だと思う.71.66.69.05−.01.01−.07−.12−.04.00.08.05
社会は私に多様な価値観と出会える機会を提供してくれると思う.68.66.64.01−.05−.07.09.06.13−.01.11.07
社会は私を鍛えてくれる場所である.61.67.72−.01.05.05.05.02.01.14.12.11
私にとって、社会は色々な人々から刺激を受けることのできるところである.60.69.69−.05−.10−.03.08.12.21.13.03.01
私にとって、社会は色々なことを教えてくれる存在である.60.62.64−.14−.10−.02.18.25.18.10−.05.01
社会は自分が積み上げてきたものを発揮できる場である.56.63.69−.14.04.03−.02−.03−.15−.06−.07−.08
社会は私を束縛する存在である−.02−.04.02.81.69.72−.05.01.15.03.05−.05
社会で生きていくことは何かをあきらめることだと思う−.07−.10−.09.67.73.53−.03−.01.19.00.02.09
社会は色々な規則で個人をがんじがらめにしていると思う.12.12.05.63.68.40.17.12.49−.06−.16−.12
社会は世間体などに縛られて生きていくところだと思う.05.06−.04.63.60.49.10.19.31.06.02.01
社会は私を傷つける存在である−.11−.05.04.62.78.84.01−.15−.07−.01.09−.08
社会は多くの秩序やマナーなどが存在する不自由な場である.07.18.11.61.57.50.00.08.19−.02−.16−.05
社会の中で楽しみを見つけることは難しいと思う−.23−.30−.17.57.50.68−.08−.03−.11.10.11.02
社会では自分の時間を犠牲にしなければならないと思う−.04−.10−.08.46.45.45.20.18.31.16.21.16
社会とは私にとって大きな壁である−.03−.02.07.46.59.65.18.13.08.09.05.08
社会ではまじめな人間は生きづらいと思う.00.00−.04.44.47.37.07−.02.23.02.06−.04
社会で生き抜くために他人を蹴落とすことは仕方のないことだと思う.04.09.15.42.37.38−.01.11−.08−.04−.05.04
社会でうまくやっていくことは大変なことだと思う−.09−.09−.04−.07−.04.01.69.73.74.07.09.02
社会では色々と我慢をしなければならないと思う.02−.09−.05.13−.02−.07.69.83.80.01.03.10
社会とは厳しいものだと思う.09.08.06−.05.07.08.66.59.59.08.15.19
社会で生きていくためには色々と妥協をしなければならないと思う−.07−.05−.01.02−.03−.02.65.63.64.05.12.07
社会は不平等なところである−.03.05−.03.20.25.02.65.57.74−.22−.14−.08
社会の中で生きていくのはストレスのたまることだと思う−.02−.12−.12.11.24.19.63.49.57−.04.01−.03
社会は複雑な世界である.10.22.12−.01.12.08.59.52.66.08−.01.01
社会は自分一人の力では簡単に変えることのできないものである−.17−.05−.01−.18−.14.02.57.68.63.20.06.07
社会は自分の思うとおりにはいかない世界だと思う−.01−.04−.03.22.21.11.54.62.75.06.01.04
社会には様々な格差があると思う.08.04.05.13.24−.02.51.51.76.06.00.00
社会では正しいことがあやふやだと思う.14.15.12.22.26.12.49.49.62−.14−.17−.13
社会は誰もが所属しなければならないところである−.01.07.10.11.08.13−.12−.13−.19.80.77.80
社会は生きていく上で必ずかかわっていかなければならないものだと思う.04.13.13−.09−.01−.04.02−.03.12.79.76.66
社会は逃れることのできないものである−.07−.04−.14.07.33.27.07−.06.11.72.61.54
社会に参加することは私たちの義務である.05.15.30−.03−.12.00−.03.00−.11.69.59.55
社会とは誰もがいずれ出ていかなければならない場所である−.01−.04−.04−.04−.11−.08.03.17.17.59.71.62
社会では労働することが義務だと思う.03−.06.01.17.08.04.05−.03−.03.57.75.76
社会においては、自立することが求められる.16.15.22.07.08−.08.11.15.46.54.45.11
社会では働かないと生きてはいけないと思う.06.02−.01.03.00−.08.21.12.18.54.67.66
生きていく上で社会は必要不可欠な存在である.31.22.11.00−.13−.12−.02.12.17.46.55.62
因子間相関関係束縛・不自由さ−.09−.06−.17
閉塞・困難さ.28.28.26.54.50.48
不可避・義務.42.41.47.41.28.19.54.41.51

①は研究1の大学生、②は研究2の大学生、③は研究2の社会人、それぞれの因子分析結果を示している。各因子に.35以上の負荷量を示した部分を太字にして四角で囲んだ。なお、因子ならびに項目の表記順序は、研究1の因子分析結果に準じている。

各因子におけるCronbachのα係数は、成長・向上因子が.92、束縛・不自由さ因子が.87、閉塞・困難さ因子が.89、不可避・義務因子が.89と十分に高い値を示していた。この研究1において作成された43項目の社会イメージ尺度を次の研究2で用いる。

研究2

研究2では、研究1で作成した社会イメージ尺度を用いて、大学生、青年期後期の社会人(18~24歳)ならびに成人期前期の社会人(25~29歳)に対して調査を行い、まず、社会イメージを含め、本研究で扱う変数に関して、それら群間で差異が認められるものについて検討する(この変数の群間差に関しては、先行研究からの仮説の設定が困難であることから、探索的に検討することとする)。さらに、問題部分で触れたように、青年・成人期の愛着二次元は、より広範で抽象化された社会イメージに対して影響を及ぼし、それが将来への時間的展望を規定するというモデルの妥当性を検討するとともに、上記の3群のそれら影響過程の共通項と差異についても検討を加える。なお、この点に関しては、問題での議論を踏まえ、仮説を以下のように設定する。

方法

回答者と実施方法

大学生のデータは、関西圏の5大学で心理学に関する講義を受講している学生を対象に質問紙調査を実施し、収集を行った。質問紙に回答した者は594名であったが、質問内容を理解して回答していないと判断されるものを除外し、男性219名、女性352名の計571名(平均年齢19.56歳;SD=1.12)を分析の対象とした。なお、調査実施の際、データは統計的処理されるため調査協力者の匿名性は保たれることが説明された。調査時期は、2012年5月から7月にかけてであった。

社会人のデータは、株式会社マクロミルによるウェブ調査にて収集された。青年期後期社会人(18~24歳)は618名、成人期前期社会人(25~29歳)は412名のデータが収集されたが、先と同様、質問内容を理解して回答していないと判断されるものを除外し、青年期後期社会人は、男性291名、女性299名の計590名(平均年齢22.64歳;SD=1.46)、成人期前期社会人は、男性196名、女性201名の計397名(平均年齢27.23歳;SD=1.38)を分析の対象とした3)。なお、調査時期は、2012年10月であった。

調査内容

1. 愛着二次元(青年・成人期の愛着スタイル)の測定尺度:一般的他者版ECR(中尾・加藤,2004)は、対人関係全般に対する関係不安ならびに親密性回避の愛着二次元を測定するための尺度である。一般的他者版ECRは30項目からなるが、本研究では回答者の負担を考慮して、中尾・加藤(2004)で関係不安と親密性回避の各因子に高い負荷量を示していた10項目ずつを選定して使用した(計20項目)。回答者は各項目について“全く当てはまらない=1”から“非常によく当てはまる=7”の7件法での評定を行った。

2. 社会イメージ尺度:個人の抱く社会に対するイメージを測定するために、研究1において作成された社会イメージ尺度(43項目)を使用した。回答者は、各項目について“全く当てはまらない=1”から“非常によく当てはまる=7”の7件法での評定を行った。

3. 将来への時間的展望を測定する尺度:時間的展望体験尺度(白井,1994)の下位尺度である目標指向性(5項目)と希望(4項目)を用いた。時間的展望体験尺度は、先の二つの因子に加え、現在の充実感、過去受容の4因子から構成されるが、本研究では、回答者の将来への時間的展望を測定するため、上記の二つの下位尺度を使用した。回答者は各項目について“当てはまらない=1”から“当てはまる=5”の5件法での評定を行った。

4. デモグラフィックな特徴を問う項目:大学生の調査協力者には、性別、年齢、学年を、社会人の調査協力者には、性別、年齢とともに、結婚の有無、子どもの有無、職業(のカテゴリー)等の回答を求めた。

以上の尺度と合わせて,他の尺度項目も調査には含まれていたが、ここではそれらについては報告しないこととする。

結果

基礎的分析

一般他者版ECRの20項目について、大学生と社会人、各々のデータに関して因子分析(反復主因子法、Promax回転)を行った結果、双方ともに先行研究(中尾・加藤,2004)と同様の因子構造が再現された。3群各々の信頼性係数は、関係不安で、α=.88(3群共通)、親密性回避で、α=.82~.84と十分に高い値を示していた。また、将来への時間的展望を測定する尺度についても大学生と社会人、各々のデータに関して上記と同様の因子分析を行った結果、双方とも先行研究(白井,1994)と同様に目標指向性の5項目と希望の4項目がそれぞれ別々の因子に高い負荷を示していた。3群各々の信頼性係数は、目標指向性で、α=.80~.86、希望で、α=.75~.81と高い値を示していた。このことから、愛着二次元ならびに将来への時間的展望の両尺度については、各下位因子に対応する項目の評定尺度値の平均によってそれらの得点を求めた(Table 2)。

Table 2 愛着二次元、社会イメージ、将来への時間的展望の各因子についての分散分析結果
大学生(1)青年期後期社会人(2)成人期前期社会人(3)分散分析多重比較の結果
N=562~570N=590N=397
関係不安3.78 (1.11)4.15 (1.09)4.24 (1.00)F(2, 1546)=26.02***2, 3>1
親密性回避3.87 (0.97)3.84 (0.95)3.91 (0.85)F(2, 1548)=0.76
成長・向上5.16 (0.91)3.19 (0.99)3.14 (0.89)F(2, 1548)=813.78***1>2, 3
束縛・不自由さ4.54 (0.99)3.31 (0.97)3.60 (0.88)F(2, 1549)=255.39***1>3>2
閉塞・困難さ5.76 (0.80)2.41 (0.96)2.61 (0.88)F(2, 1549)=2458.97***1>3>2
不可避・義務5.30 (1.02)2.93 (1.01)2.99 (0.90)F(2, 1551)=1008.68***1>2, 3
目標指向性2.55 (1.00)3.21 (0.88)3.08 (0.83)F(2, 1552)=81.10***2, 3>1
希望3.02 (0.92)3.07 (0.96)2.92 (0.87)F(2, 1554)=3.41*2>3

表中の数値は平均値、括弧内の数値はSDを表す。なお、多重比較の結果については、大学生を1、青年期後期社会人を2、成人期前期社会人を3とした。*** p<.001; ** p<.01; * p<.05

次に、社会イメージ尺度の43項目について、研究1で示された因子構造が大学生で再現されるのか、また、社会人においても大学生と同様の因子構造が認められるのかに関して検討を行うため、大学生と社会人の各々のデータに対して因子分析(反復主因子法、Promax回転)を行った。その結果(Table 1)、大学生のデータでは、研究1と同様の因子構造が確認され、また、社会人のデータでも、「社会においては、自立することが求められる」、「社会はいろいろな規則で個人をがんじがらめにしていると思う」の2項目以外は、研究1の因子構造がほぼ再現されていた4)。それゆえ、研究1と同様の方法で各下位因子の得点を算出することとした(Table 2)。なお、3群各々の各因子のCronbachのα係数は、成長・向上因子でα=.93(3群共通)、束縛・不自由さ因子でα=.87~.88、閉塞・困難さ因子でα=.90~.93、不可避・義務因子でα=.88~.90であった。

愛着二次元、社会イメージ、将来への時間的展望についての3群間の差異の検討

大学生、青年期後期社会人、成人期前期社会人の3群間で、愛着二次元、社会イメージ、将来への時間的展望の各下位因子の得点に差異が見られるのかについて検討を行うため、それらに関して、上記の群を独立変数とした一要因分散分析を行った。その結果(Table 2)、愛着二次元では、関係不安において群間に0.1%水準の有意差が認められ、多重比較(Tukey法)の結果、大学生よりも青年期後期社会人、成人期前期社会人の得点のほうが高かった。しかし、親密性回避においては群間の差は認められなかった。次に、社会イメージに関しては、4つの下位因子すべてにおいて群間に0.1%水準の有意差が認められ、多重比較の結果、成長・向上と不可避・義務は、青年期後期社会人および成人期前期社会人よりも大学生の得点のほうが高く、束縛・不自由さならびに閉塞・困難さでは、青年期後期社会人、成人期前期社会人、大学生の順にそれらの得点が高くなっていた。また、将来への時間的展望に関しては、目標指向性で群間に0.1%水準の有意差が、希望では、5%水準の有意差が認められ、前者は大学生よりも青年期後期社会人、成人期前期社会人の得点のほうが高く、後者は、成人期前期社会人よりも青年期後期社会人の得点が高いことが示された。

愛着二次元、社会イメージ、将来への時間的展望の関連性の検討

仮説1ならびに2について検討を行うため、大学生、青年期後期社会人、成人期前期社会人の各群での変数間の相関係数を求めた(Table 3)。その結果、3群すべてにおいて、関係不安は、ネガティブな社会イメージである束縛・不自由さ(r=.26~.40)ならびに閉塞・困難さ(r=.15~.25)とは有意な正の関連を、親密性回避は、ポジティブな社会イメージである成長・向上とは有意な負の関連(r=−.20~−.40)を示していた。しかしながら、親密性回避と束縛・不自由さならびに閉塞・困難さとの関連については、青年期後期社会人と成人期前期社会人では、それらに有意な正の関連が認められたものの(r=.16~.28)、大学生では、親密性回避は、束縛・不自由さと有意な正の関連(r=.14)を示したのみで閉塞・困難さとの間には有意な関連は認められなかった。また、関係不安と成長・向上との関連については、成人期前期社会人で有意な負の関連(r=.11)が見られたもののその関連性はかなり弱く、他の群においては、それらの間に有意な関連は認められなかった。このことから、仮説1は、部分的に支持されたと言える。すなわち、3群すべてで、関係不安がネガティブな社会イメージである束縛・不自由さならびに閉塞・困難さと有意な正の関連を、親密性回避がポジティブな社会イメージである成長・向上と有意な負の関連を示したことに関しては、仮説1は支持されたと言えよう。

Table 3 大学生、青年期後期社会人、成人期前期社会人における各変数間の相関関係
愛着次元社会イメージ将来への時間的展望
関係不安親密性回避成長・向上束縛・不自由さ閉塞・困難さ不可避・義務目標指向性希望
関係不安.15***−.05.37***.25***.15***−.18***−.35***
親密性回避.04−.24***.24***.07−.09*−.14**−.19***
.13**
成長・向上.06−.20***−.02.26***.48***.18***.36***
−.11*−.40***
束縛・不自由さ.26***.27***.01.60***.32***−.13**−.34***
.40***.28***−.12*
閉塞・困難さ.15***.17***.28***.66***.45***−.20***−.22***
.20***.16**.27***.55***
不可避・義務.13**−.01.54***.33***.57***−.09*−.06
.07−.14**.53***.25***.57***
目標指向性−.14***−.14***.21***−.16***−.18***.00.54***
−.18***−.20***.25***−.19***−.22***−.05
希望−.24***−.23***.34***−.34***−.21***.02.68***
−.36***−.39***.43***−.42***−.24***.00.60***

大学生:N=559~568、青年期後期の社会人:N=590、成人期前期の社会人:N=397。斜線より上部が大学生の回答者、下部の上段が青年期後期の社会人、下段が成人期前期の社会人の回答者における各変数間の相関係数である。*** p<.001; ** p<.01; * p<.05

また、関係不安と親密性回避の愛着両次元は、3群すべてで目標指向性(r=−.14~−.20)ならびに希望(r=−.19~−.39)と有意な負の関連を示しており、関係不安と親密性回避が高いほど、言い換えれば、自己や他者への期待や信念がネガティブであるほど、目標指向性や希望といった将来への時間的展望が阻害される可能性があることが示された。この結果は仮説2を支持するものである。

愛着二次元が社会イメージを媒介し将来への時間的展望に及ぼす影響の検討

次に、自己や他者への信念や期待である青年・成人期の愛着スタイルが、社会イメージを媒介して将来への時間的展望に影響を及ぼすというプロセスについて検討を行うため、大学生、青年期後期社会人、成人期前期社会人の3群に対して多母集団同時分析を行った。具体的には、Table 3の各変数間の相関係数を参考に、愛着次元の関係不安と親密性回避(第一層)から社会イメージの4つの下位因子(第二層)に対してのパスを、また、社会イメージの4つの下位因子から将来への時間的展望である目標指向性と希望(第三層)に対してのパスを設定し、3群で有意とならないパスを消去しつつ、分析を行った(なお、その際、第一層の愛着二次元と第三層の時間的展望との間にはパスは仮定しなかった)。その結果、Figure 1に示したモデルが得られた5)。このモデルについて、3群の各パスに等値制約なしで分析を行った結果、モデルの適合度は、GFI=.978、AGFI=.902、CFI=.967、AIC=309.21、RMSEA=.057であった。次に、3群間で有意性が異なっていたパスに関してのみ等値制約なしとし、それら以外のパスに関しては等値制約ありとしたモデル(関係不安から閉塞・困難さへのパスと不可避・義務から希望へのパスについては等値制約なし、それ以外のパスについては等値制約あり)で分析を行ったところ、モデルの適合度は、GFI=.974、AGFI=.937、CFI=.966、AIC=293.79、RMSEA=.043であった。どちらのモデルも適合度に関しては、採択可能なものであったが、AICならびにRMSEAの値が共に低いことから後者のモデルを採用した(Figure 1)。上記のようにモデルの適合度は、十分に採択可能である数値を示していたことから、仮説3、すなわち、大学生、青年期後期社会人、成人期前期社会人の3群の多母集団同時分析で、愛着二次元が社会イメージを媒介して将来への時間的展望に影響を及ぼすというモデルの適合度は高く、採択可能なものとなるであろうという仮説は支持されたと言える。

Figure 1 愛着二次元が社会イメージを媒介して将来への時間的展望に影響を及ぼすというプロセスモデルについての検討結果

上記は、親密性回避から閉塞・困難さへのパスならびに不可避・義務から希望へのパス以外のパスについて等値制約ありとしたモデルである。図の各線上の数値は、標準化推定値であり、左から順に大学生、青年期後期社会人、青年期前期社会人の値を表記した。実線が正の影響、破線が負の影響を示す。また、誤差変数と共分散は図から省略した。

Figure 1の結果を具体的に見ていくと、大学生、青年期後期社会人、成人期前期社会人の3群すべてで、愛着次元の関係不安は、束縛・不自由さ(β=.30~.31, p<.001)、閉塞・困難さ(β=.17~.21, p<.001)、不可避・義務(β=.12~.13, p<.001)に対して有意な正の影響を及ぼしており、他者から見捨てられることに過度の不安を抱きやすい者ほど、社会に対して自分を束縛するといったイメージ、あるいは社会は厳しく閉塞感が漂っているといったイメージをもちやすく、加えて、社会に出ることは義務であり逃れられないと考える傾向にあった。もう一つの愛着次元の親密性回避については、成長・向上に対して有意な負の影響を(β=−.22~.24, p<.001)、束縛・不自由さ(β=.26, p<.001)ならびに閉塞・困難さ(β=.09~.25, p<.05~.001)には有意な正の影響を及ぼしていた。つまり、他者と親密になることを回避しやすい者ほど、社会を成長の場として捉えにくく、また、社会というものを束縛感や不自由さ、さらに、閉塞感や困難さといったイメージで捉えやすいと言うことができる。次に、社会イメージから将来への時間的展望に及ぼす影響では、3群すべてで、成長・向上は目標指向性(β=.25~.31, p<.001)ならびに希望(β=.43, p<.001)に対して有意な正の影響を、閉塞・困難さはそれら双方に対して有意な負の影響(β=−.15~.30, p<.001)を及ぼしていた。また、束縛・不自由さについては、希望に対してのみ3群すべてで負の影響(β=−.23~.25, p<.001)が見られ、不可避・義務に関しては、大学生群においてのみ希望に対する有意な負の影響(β=−.07, p<.05)が認められた。

総合的考察

本研究では、自己や他者についての信念体系である愛着次元が、個人が自身の周囲の環境や世界に対していかようにアプローチしていくかという方略に影響を与えるとともに、外界情報の認知や将来の予測、自己や他者の行動についてのシミュレーションにも影響を及ぼしうるという理論的背景から、青年・成人期の愛着二次元と社会イメージならびに将来への時間的展望との関連性について検討することを目的として行われた。そのため、まず、社会イメージ尺度を作成し、その後、回答者の就労の有無や発達段階の要因を加味して、大学生、青年期後期社会人、成人期前期社会人の3群を設定し、それら群間での各変数の差異に関して探索的に検討を行うとともに、愛着二次元が社会イメージを媒介して将来への時間的展望に影響を及ぼすというモデルについての検討を行った。

研究1では、上記の目的を果たすため、個人が社会に対して抱く主観的なイメージを測定するための尺度、社会イメージ尺度の作成を行った。作成された社会イメージ尺度の各因子のα係数は、研究1ならびに研究2において比較的高い値を示しているとともに、研究1で示された社会イメージ尺度の因子構造は、研究2での大学生、さらに社会人を対象とした場合にもほぼ再現されており、その信頼性は高いものであると言えるだろう。

研究2では、まず、愛着二次元、社会イメージ、将来への時間的展望の各下位因子得点に関して、大学生、青年期後期社会人、成人期前期社会人の三つの群で差異は認められるのかについての検討を行った。その結果、愛着次元の親密性回避については、3群間で差は見られなかったが、関係不安に関しては、大学生と比べて青年期後期社会人ならびに成人期前期社会人の得点が高いという群間差が認められた。これまで愛着スタイルあるいは愛着二次元の変化に関する研究は、個人の愛着スタイルの一貫性に関する報告はいくつか存在するが(e.g., Baldwin & Fehr, 1995; Kirkpatrick & Hazan, 1994)、発達段階やライフイベント等によってそれらが変化しうるのかに関する研究は、愛着二次元と出産前後のストレスとの関連について検討を行った研究以外(Simpson, Rholes, Campbell, & Wilson, 2003)、あまり見受けられない。本研究の結果では、大学生よりも両社会人において関係不安の得点が高かったことから、その差異は、発達段階に起因するというよりも、就労あるいは社会に出たことの要因によるものと推察することができる。ただし、この結果についてより積極的な解釈を与えるためには、今後、愛着二次元の発達的変化やライフイベントによる愛着二次元の変化に関する研究を行っていく必要があるだろう。

次に、社会イメージ尺度に関しては、その4つの下位尺度すべてにおいて、大学生の得点は青年期後期社会人や成人期前期社会人のものよりも有意に高かった。この結果は、まだ社会に出て就労していない大学生にとって、その未知なる社会に対するイメージは、それが成長・向上といったポジティブなものであろうと、束縛・不自由さや閉塞・困難さといったネガティブなものであろうと大きく膨らんでいるということを示すものであろう。下村・白井・川﨑・若松・安達(2007)は、フリーターのキャリア自立に関して、「社会を知る」ことへの支援を提案しているが、上記のように、大学生と社会人とで社会イメージに大きな開きがあることを考慮すれば、社会にアクセスし社会を知ることへの支援はフリーターだけでなく大学生の将来的なキャリア自立を考える上においても重要であることを示唆している。さらに、束縛・不自由さ、閉塞・困難さといったネガティブな社会イメージについては、青年期後期社会人と成人期前期社会人の間にも差異が認められており、成人期前期社会人の得点のほうが青年期後期社会人のものよりも有意に高いという結果であった。この点については、就労してからある程度の年数が経ち、仕事に伴う責任が重くなる、あるいは周囲の人間関係でのしがらみが増えることで、成人期前期社会人において社会イメージがよりネガティブになったためではないかと考えられる。この点に関しては、今後、30代以上の社会人を対象としてより詳細な検討を行っていく必要があるだろう。

将来への時間的展望については、目標指向性で大学生よりも社会人(青年期後期社会人ならびに成人期前期社会人)のほうが、その得点が高かった。白井(1999)の縦断的研究でも、目標指向性は、大学2、3年生時よりも卒業後2年目のほうが高いという結果が報告されており、社会人のほうが大学生よりも将来に対する目標や計画を明確にもっていると言うことができよう。

上記のように、大学生、青年期後期社会人、成人期前期社会人の3群間で、愛着次元の関係不安や社会イメージ尺度の4つの下位因子、将来への時間的展望の目標指向性の得点には大きな差異が認められたが、それら3群における変数間の関連性を見ていくとその様相は異なってくる。まず、変数間の相関分析では、3群すべてで、愛着二次元の関係不安ならびに親密性回避と将来への時間的展望の目標指向性および希望との間には有意な相関関係が認められた。つまり、関係不安や親密性回避が高くなるほど、言い換えれば、自己や他者への信念や期待がネガティブになるほど、目標指向性や希望といった将来への時間的展望もネガティブになっていた。これらの結果は、愛着二次元が、目標追求に対する困難さの認知や目標追求へのコミットメントの低さ、将来の関係の質に関するネガティブな予見といった行動のプランニングや将来の予測と関連することを示した先行研究(Campbell et al., 2005; Elliot & Reis, 2003; Mikulincer & Shaver, 2007)とも整合する。さらに、社会イメージについては、3群すべてで、成長・向上が目標指向性と希望、双方の将来への時間的展望と有意な正の関連を、束縛・不自由さならびに閉塞・困難さはそれらと有意な負の関連を示していた。ただし、相関係数を見ると、全体的に、社会イメージとの関連は目標指向性よりも希望のほうが大きい。谷(1998)によると、希望は未来への予測の側面として、目標指向性は未来に対する確実性の側面として捉えられることから、社会へのイメージは、未来に対する確実性よりも未来への予測との関連が強いと言えよう。

さらに、愛着二次元が社会イメージを媒介して将来への時間的展望に影響を及ぼすというモデルについても、上記の3群を対象とした多母集団同時分析の結果、その適合度は高く、加えて、大学生、青年期後期社会人、成人期前期社会人の三つの群でいくつかの共通のプロセスが認められた。それらの結果について詳細に見ていくと、まず、関係不安は、3群すべてにおいて、束縛・不自由さや閉塞・困難さといったネガティブな社会イメージに正の影響を及ぼし、さらに、それらネガティブな社会イメージは将来への時間的展望の希望に負の影響を与えていた。また、閉塞・困難さからは、目標指向性に対する負のパスも認められた。このことから、自分自身に自信がなく、他者から見捨てられることに過度の不安を抱きやすい者は、社会に対して自分を束縛するもの、あるいは社会は厳しいものといったネガティブなイメージを抱きやすく、そのことが将来への希望を脆弱にさせていると言うことができるだろう。また、社会を閉塞感や困難さといったイメージで捉えることは、将来に明確な目標をもつことを妨げてしまう可能性があることも示された。

次に、親密性回避については、3群すべてで束縛・不自由さや閉塞・困難さといったネガティブな社会イメージに正の影響を及ぼしており、さらに、それらの社会イメージが希望に負の影響を及ぼしていた。つまり、先の関係不安の場合と同様に、他者に対してネガティブな信念や期待をもち、他者と親密になることを避けようとする者は、社会に対してネガティブなイメージをもちやすく、それゆえに、将来に希望を抱けなくなってしまうと言える。ただし、親密性回避には、関係不安とは異なった影響過程も見られており、親密性回避からは、ポジティブな社会イメージである成長・向上に負の影響が、さらに、その成長・向上から目標指向性ならびに希望に対して正の影響が認められた。これは、対人関係で親密さを回避しやすい者ほど、社会を成長の場として捉えにくい傾向を示すものであると言えるが、逆に考えれば、他者に対してネガティブな信念や期待をもたず、他者と親密になることに抵抗感がない者は、社会を成長や向上の場として捉えやすく、そのことが将来への目標を明確にさせ、希望を抱かせることにつながると捉えることもできるだろう。

ここで本研究の限界と今後の展望について述べておく。まず、本研究で作成された社会イメージ尺度の妥当性については、愛着二次元や将来への時間的展望との関連性を見る限りある程度は示されたものと考えることができる。しかし、今後、より詳細な検討を行っていくためには顕在的態度との関連だけでなく、潜在的態度や行動的側面との関連についても考慮する必要があるだろう。本研究では、大学生、青年期後期社会人、成人期前期社会人の3群において、愛着二次元が社会イメージを媒介して将来への時間的展望に影響を及ぼすというモデルが支持されるとともに、そのプロセスについてもいくつかの共通点が認められた。ただし、本研究の対象者は、18歳から29歳の者に限られている。上記のプロセスが30代以降の社会人においても認められるものなのかについては、今後、検討の余地がある。加えて、本研究では、回答者のデモグラフィックな属性については就労の有無と年齢以外を扱ってはいなかったことから、今後、上記のモデルについてより詳細な検討を行っていくためには、たとえば、大学生に関しては学年、社会人に関しては就業形態を考慮した研究が求められるところである。また、本研究の研究2では、大学生と社会人(青年期後期社会人ならびに成人期前期社会人)とでデータの収集方法が異なっており、前者は質問紙、後者はウェブでの調査によるものであった。このようなデータの収集方法に違いがあるにもかかわらず、大学生、青年期後期社会人、成人期前期社会人において先のような共通項が認められたことは、方法論的観点から見てもある程度意義があるものと言える。ただし、今後、大学生と社会人とで共通の方法でデータを収集し検討を加えていく必要があるというのも確かであろう。最後に、本研究では、自己や他者への信念や期待が社会イメージを媒介して将来への時間的展望に影響を及ぼすことが示されたが、この結果は、自己や他者への信念や期待、あるいは社会へのイメージが変容すれば、将来への時間的展望が変化することを示唆するものと捉えることができる。愛着理論の理論的背景を踏まえれば、自己や他者への信念や期待を変容させることはかなり困難と言えるかもしれない。しかし、社会イメージに関しては、先に述べたように社会を知ること等で変容する可能性は十分にある。個人の将来への時間的展望をより良きものにするためには、ポジティブな社会イメージの形成を促すような支援の必要性があると言えるだろう。

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