2015 年 36 巻 5 号 p. 263-264
世界の陸地面積の3割を占める森林は巨大な炭素プールであり,温室効果ガスの吸収源と見なされています。しかし環境変化は森林そのものへも影響するものであり,森林の変動メカニズムや炭素貯留量などを解明する研究が進められ,地球温暖化対策において期待される森林の働きが解明されつつあります。その一方で,途上国では開発行為によって熱帯林等が消失し,それが温室効果ガスの排出源になっています。そのため,気候変動枠組条約締約国会合(COP)等の国際的な検討体制では,途上国の森林開発を抑制し,熱帯林等の保全を進めるため「REDDプラス」という考え方が注目されています。先進国による経済支援や様々な技術支援を進めることが,地球規模の温室効果ガスの排出削減に必要であるとの認識のもと,国際的な枠組みとしてその具体化に向けた検討が進められています。